このブログは,多くの受験生の方が司法書士試験に合格するために開設しました。
    旧商法下の過去問のエッセンス講座(3)

    こんにちは。

     筆記試験合格発表を待っての再開となります、旧商法下の過去問のエッセンス講座。

     今回は、17-pm35の一般社団法人の登記に関する問題です。

     もともとは、民法上の社団法人の登記に関する問題でしたが、法人法が施行されたため、問題文の全部を変更しました。

     問題は、こちらから。

     解説は、次のとおりです。


    ア 誤り
     主務官庁による設立の許可の年月日及び資産の総額は、いずれも一般社団法人の設立の登記における登記すべき事項ではありません(法人法301条2項参照)。

    イ 誤り
     一般社団法人の設立の登記の申請書には、公証人の認証を受けた定款を添付する必要があります(法人法13条,318条2項1号)。

    ウ 誤り
     定款を変更して代表理事の共同代表に関する定めを設けた場合でも、当該定めは一般社団法人の登記すべき事項ではないため(法人法301条2項参照)、当該定めの設定による変更の登記を申請することはできません。

    エ 正しい
     理事会設置一般社団法人以外の一般社団法人は、社員総会の決議によって代表理事を定めることができ(法人法77条3項)、この場合には、代表理事の就任による変更の登記の申請書には、社員総会の議事録を添付します(同法317条2項)。定款を添付することを要しません。

    オ 正しい
     一般社団法人が吸収合併をした場合における主たる事務所の所在地における登記義務の期間は、その効力が生じた日の翌日から起算されます(法人法306条1項)。

     以上により、正しいものはエオであり、正解は5となります。

     と、ここまで書いて気付いたのですが、上記の内容は、旧商法下の過去問の話ではないですね…。

     でも、せっかく書いたので、法人法対策についてお話しておきます。次回こそは、ちゃんと、旧商法下の過去問のエッセンス講座をやります笑。

     法人法絡みの問題は、民法法人の時代と同様に、民法ではなく、商業登記法での出題が予想されていました。

     このことは、過去の実績だけではなく、法務省が発表する試験案内の試験内容に、「不動産登記法及び商業(法人)登記に関する知識…」と書いていることからも、明らかです。

     で、商業登記法での出題が予想され、それが現実化したのが、22-pm35です。

     問題は、こちらから。

     内容的には、ちゃんと対策を立てていれば、難なく解ける問題です。

     一応解説をしておきます。

    ア 誤り
     一般社団法人は、定款で定めた解散の事由の発生により解散した場合には、清算が結了するまで、社員総会の決議によって、一般社団法人を継続することができるため(法人法150条)、継続の登記を申請することができる(同法309条)。これに対して、一般財団法人は、定款で定めた解散の事由の発生により解散した場合には、一般財団法人を継続することができないため(法人法204条参照)、継続の登記を申請することはできません。

    イ 正しい
     理事会を設定している一般社団法人は、定款の定めにより代表理事を社員総会において選任することができ、この場合における代表理事の就任による変更の登記の申請書には、社員総会の議事録のほか(法人法317条2項)、定款を添付する必要があります(登記規則3条,商登規61条1項)。

    ウ 誤り
     公益認定を受けた一般財団法人は、その名称中の一般財団法人の文字を公益財団法人と変更する定款の変更をしたものとみなされます(認定法9条1項)。そこで、先例は、一般財団法人が公益認定を受けて公益財団法人となる場合には、公益認定による名称の変更の登記を申請しなければならないとしています(平20.9.1民商2351号)。

    エ 正しい
     一般社団法人においても、一般財団法人においても、定款で代表理事の代表権の範囲に関する制限を定めている場合でも、その定めを登記することはできません(法人法301条2項,302条2項参照)。

    オ 正しい
     合併をする法人が一般社団法人のみである場合には、合併により設立する法人は、一般社団法人でなければならない(法人法243条1項1号)。そのため、一般社団法人と一般社団法人とが新設合併をする場合には、合併により設立する法人を一般財団法人とする設立の登記の申請をすることはできません。

     以上により、誤っているものはアウであり、正解は1となります。

     で、平成23年度ですが、さっき、『ちゃんと対策を立てていれば』、難なく解けるという言い方をしましたが、『ちゃんとした対策』が何かが問題となります。

     『ちゃんとした対策』は、22-pm35のウを見れば分かります。

     そうです、平20.9.1民商2351号をしっかりやっておけば良いのです。

     法人法の基本通達である平20.9.1民商2351号には、司法書士試験で出題される法人法関係の知識が詰め込まれています。

     したがって、受験生の方は、会社法と商業登記法の対策をした後に、こつこつ平20.9.1民商2351号を読み込んでおけば、法人法からの出題に対して十分な対策をしたことになります。

     答練や模試を当てにするのも良いのですが、答練等では法人法の問題ばかりが出るわけではないため、答練等で出題された問題を解くのに必要な法人法の知識だけを覚えることは、断片的過ぎて、確実に合格するという観点から言えば、対策として不十分です。

     まだ時間はありますので、

     『法人法対策は、平20.9.1民商2351号をきっちりやる。』

     こう決めて、勉強を進めていきましょう。

     平20.9.1民商2351号は、こちらからダウンロードすることができます。

     また、僕の新・標準テキスト商業登記法では、平20.9.1民商2351号をベースとして、そこに解説を付す形を取っています。10月中に刊行される予定ですので、ぜひお使い下さい。

     ちなみに、立案担当者による法人法関係の本としては、以下の2つがあります。上の本は軽すぎますし、下の本は重すぎます。


     


     今回は、これで終わりです。

     では、また。

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    旧商法下の過去問のエッセンス講座(2)
     こんばんは。

     旧商法下の過去問のエッセンス講座の時間がやってきました。

     第2回から、平成17年の商業登記法の問題を検討します。

     体系別にやりたいところなんですが、実は、僕の手元にある過去問集が、平成16年度の過去問まで掲載されている体系別で、平成17年度以降は年度別なので、こんなやり方になっています。

     過去問集変えろよと言われそうですが、そもそも僕は世にある体系別過去問集の体系が気に食わず、また、過去問なんて問題があれば別に解説なんていらないので、しばらくはこのままの体制でいきます。


    【旧商法下の過去問のエッセンス講座】
    旧商法下の過去問のエッセンス講座(1)


     今回の問題は、こちら

     17-pm28は、個人商人の登記に関する問題です。

     商業登記法の択一式試験の問題は、会社法のそれとは異なり、株式会社重視ではなく、株式会社以外の会社や商業登記総論が結構出題されます。

     平成22年度において、一般社団・財団法人の登記が出題されましたが、こういった旧商法下での出題傾向への回帰と考えられるような出題実績を見ると、個人商人に関する登記を対策から外すことはできないでしょう。

     以上の理由で、今回は、17-pm28を取り上げることにしました。

     以下、簡単に解説します。




    ア 誤り

     商号の登記をした者が死亡した場合において、その相続人が当該商号を続用しないときは、その相続人は、商号の廃止の登記を申請しなければなりません。
     これに対して、商号の登記をした者が死亡した場合において、その相続人が当該商号を続用するときは、その相続人は、商号の相続による変更の登記を申請しなければなりません。


    イ 正しい

     未成年者の死亡による消滅の登記は,法定代理人の申請によってします(商登法36条3項)。

    ウ 誤り

     後見人が死亡した場合に申請する後見人の退任による消滅の登記は、新後見人が申請することができます(商登法41条3項)。

    エ 誤り

     商行為の委任による代理権は、本人の死亡によっては、消滅しません(商法506条)。
     したがって、支配人の登記をした営業主が死亡した場合でも、支配人の代理権は消滅しないため、その相続人は、支配人の代理権の消滅の登記を申請することを要しません。

    オ 正しい

     委任による代理権は、代理人の死亡によって、消滅します(民法111条1項1号,653条1項1号)。
     したがって、支配人の登記に係る支配人が死亡した場合には、その営業主は、支配人の代理権の消滅の登記を申請しなければなりません(商法22条後段)。

     以上により、正しいものはイオであり、正解は4となります。




     個人商人に関する登記に久しぶりに触れた受験生の方も多かったと思います。

     それはそれで良いことです。

     言い方は悪いですが、個人商人に関する登記という瑣末な論点は、この時期に正確に押さえて必要などありません。

     この時期には、もっともっと他にすべきことがあります。

     個人商人に関する登記は、直前期にざっと確認する程度で足ります。

     ここまでの話は、他の講師の方もされるので、僕は、ここからもっと突っ込んだ話をします。

     大切なことは、本当に直前期にすることができるかということです。

     個人商人に関する登記のほかにも、瑣末な論点、すなわち、短期間にがっつり覚えさえすれば得点できる論点はたくさん存在します。人によっては、親族・相続法も瑣末な論点と位置付けられているでしょう。

     そういう戦略は良いと思うのですが、瑣末な論点も積み重なると膨大な知識量となりますので、本来短期間で習得できるものが量の多さにより習得できなくなる場合があります。

     じゃあどうすれば良いのかということですが、僕は、主要4科目を直前期にやらないことが一番の解決策だと思っています。

     年内は主要4科目、年明けからはマイナー科目という受験生の方がよく使う方式はおおむね間違ってはいないのですが、主要4科目を直前期にやっているようでは、到底マイナー科目を集中して習得するのは無理ではないかと思います。

     計画を立てることの大切さとか、そういうめんどくさい話はしませんが、よく言われる計画通りに行かなくて当然だ的な考え方は、僕は嫌いです。

     だったら計画を立てる必要などなく、計画を立てているその時間が無駄だからです。

     人間生きていれば色々と自分を甘やかすことはあると思いますが、やると決めたらちゃんとやらないと、合格することは永遠にできません。

     逆に、適切な計画であれば、やると決めたことをちゃんとやるだけで合格することができるのが司法書士試験であると言えます。

     頑張りましょう。

     本当なら、予備校でも僕でも、『計画添削講座』みたいなものがあればいいんです。

     講師である以上、合格するのに必要な勉強・情報・知識量・実力は分かっているはずですから、それに個々の受験生の方のライフスタイルを踏まえて計画を立て、それを実践してもらい、定期的に状況をチェックする。

     良いと思いませんか?

     まあ、大手の予備校だとなかなか難しくなりますが、ゼミを作って、大手予備校でもできるだけ少数制を実現すれば可能だとは思います。

     ただ、僕は、その担当になるのは難しいと思います。

     これは、忙しいというのも理由の1つですが、何より僕は、とっても厳しいからです笑

     その反面、それを受験生の方に伝えることに気後れするからです。

     まあ、理想的な計画というのは僕の中にも存在しますので、専業型と兼業型に分けて、できるだけ早い時期に示そうかなと思ったりしています。




     17-pm28から話はかなり外れてしまいましたが、

     この問題をやるだけじゃなくて、

     ① 自分にとって瑣末な論点は何か?
     ② ①の論点をいつやるのか?

     という2点を考えることを大切な課題として、第2回を終わります。

     お疲れ様でした。

     では、また。



    旧商法下の過去問のエッセンス講座(1)
     こんばんは。

     そろそろ、旧商法下の過去問のエッセンス講座を開講しましょう。

     普段講義している予備校だとこんな簡単に思いつきで講座をすることなどできないので(そう、この講座は、ブログ限定のプレミアムな講座なんです。)、僕自身楽しみです。

     ただし、諸事情(忙しさ)で、不定期となります。

     これから宜しくお願いします。

     では、第1回を始めましょう。

     まずは、講座の趣旨ですが、今までの記事を見れば分かるように、

     平成22年度司法書士試験の商法、会社法及び商業登記法の内容を見ると、どうやら会社法に基づく実務が安定したことから、旧商法下の判例等が今後問われそうな傾向なので、今まで「平成18年度以降の過去問だけをしっかり演習・分析すべきだ!」という主張をしていた僕が出題傾向に従い指導方針を転換するに当たって、この転換をすぐに受け入れることができない受験生の方のために、旧商法下の過去問のエッセンスだけでも吸収していただこうというものです(長っ!)。

     前置きはこれぐらいにして、早速内容に入りましょう。第1回なので、軽めに。

     平成17年度の商法の過去問です。

     判例は、1個だけ出題されています。

     問題は、こんな感じ。

     17-am33-ウ

    ※ ファイリングなどしていただけたらなと、ファイルマネージャ?が少しだけ使えるようになりましたよ。

     問われている判例は、最判昭43.3.15。

     少し解説をすると、

     株式会社は、破産手続開始の決定と同時に破産手続廃止の決定(破産法216条)を受け破産手続が終了した場合において、残余財産があるときは、清算をしなければなりません(会社法475条1号かっこ書参照)。

     そして,判例は、この場合には、委任者である株式会社の破産手続開始の決定により委任契約が終了したこととなっている解散前の取締役が清算人の地位に就任するのではなく、清算人の選任に関する定款の定め又は株主総会の決議がない限り、会社法478条2項の規定により、利害関係人の請求によって、裁判所が清算人を選任すべきであるとしています。

     要は、いったん破産手続開始の決定がされた以上、法定清算人制度は使えないということです。

     この判例は、当然、会社法下においても通用する判例ですので、必ず覚えておいてください。

     第1回、これで終わります。

     では、また。