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    このブログは,多くの受験生の方が司法書士試験に合格するために開設しました。
    民法(配偶者居住権を除く相続関係)の改正に関する登記先例に基づく記述式問題対策(3)
    【令和2年度(2020年度)対策の電子書籍】

    □ 記述式過去問集【不動産登記法】(昭和57年度~平成9年度)[民法(債権関係・相続関係)改正対応版]
     * 関連記事: 記述式過去問集【不動産登記法】(昭和57年度~平成9年度) [民法(債権関係・相続関係)改正対応版]
    □ 2020目標 不動産登記法の記述式問題対策 答案作成上のポイント
    □ 民法の重要判例(平成10年-平成31年・令和元年)






     こんにちは。

     今回もやっていきましょう。


    【前回までの記事】
     民法(配偶者居住権を除く相続関係)の改正に関する登記先例に基づく記述式問題対策(1)
     民法(配偶者居住権を除く相続関係)の改正に関する登記先例に基づく記述式問題対策(2)






    (3) 遺留分制度に関する見直し(遺留分侵害額の請求)
     遺留分権利者及びその承継人は,受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。)又は受贈者に対し,遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができるとされ(法第1046条第1項),これまで遺留分に関する権利を行使することによって当然に物権的効果が生じ,遺留分を侵害する遺贈又は贈与の全部又は一部が無効となるものとされていたものが,この規律を見直し,遺留分侵害額に相当する金銭債権が発生することとされた。
     また,遺言による相続分の指定(旧法第902条),包括遺贈及び特定遺贈(旧法第964条)について,遺留分に関する規定に違反することができないとする規定が削除され,遺留分に関する規定の用語についても「減殺請求権」を「遺留分侵害額請求権」に改めるといった改正がされるとともに(法第1048条等),遺留分の計算方法が明確化された(法第1042条)。
     上記改正により,従前の遺留分減殺を登記原因とする所有権の移転の登記の申請は,受理することができないこととなる。
     この改正後の規定は,改正法の施行の日(令和元年7月1日)以後に開始した相続について適用され,同日前に開始した相続については,なお従前の例によるとされた(改正法附則第2条)。




     「遺留分減殺請求権」は,金銭債権である「遺留分侵害額請求権」へと形を変えたため,遺留分減殺を登記原因とする所有権の移転の登記を申請することはできないということになります。

    【設問】

     遺留分減殺を登記原因とする所有権の移転の登記を申請することはできない。

     

     これによると,前回出題した【設問】は,「正しい」ということになりそうです。

     しかし,ここも前回から登場している「経過措置」に気を付ける必要があります。

      「遺留分減殺請求権」を「遺留分侵害額請求権」 とする改正は,改正法の施行の日(令和元年7月1日)以後に開始した相続について適用されます。

     すなわち,被相続人が令和元年7月1日より前に死亡した場合には,遺留分権利者の有する遺留分権は,遺留分侵害額請求権ではなく,遺留分減殺請求権ですので,遺留分減殺を登記原因とする所有権の移転の登記を申請することになります。

     したがって,【設問】は,「誤り」ということになります。


     ところで,令和元年7月1日以後に開始した相続について,遺留分権利者Aが受遺者Bに対して遺留分侵害額請求権を行使したところ,受遺者Bと遺留分権利者Aとの間で現物の返還する旨の契約が締結されたとします。

     この場合,どのような登記を申請すべきでしょうか?

     

     (検討中)




     まず,遺贈の効力が発生していますので,申請すべき登記の1件目は,遺言者から受遺者Bへの遺贈を登記原因とする所有権の移転の登記です。

     次に,受遺者Bと遺留分権利者Aとの間でされた現物の返還する旨の契約は,代物弁済契約です(民法482条)。

     したがって,申請すべき登記の2件目は,受遺者Bから遺留分権利者Aへの代物弁済を登記原因とする所有権の移転の登記を申請します。






    (4) 相続の効力等に関する見直し(共同相続における権利の承継の対抗要件)
     相続による権利の承継は,遺産の分割によるものかどうかにかかわらず,法第900条及び第901条の規定により算定した相続分を超える部分については,登記,登録その他の対抗要件を備えなければ,第三者に対抗することができないとされた(法第899条の2第1項)。
     したがって,相続を原因とする権利の承継であっても,その取得した権利の全体について登記等の対抗要件を備えなければ,法定相続分を超える部分について,第三者に対抗することができないこととなる。
     この改正後の規定は,改正法の施行の日(令和元年7月1日)以後に開始した相続について適用され,同日前に開始した相続については,なお従前の例によるとされた(改正法附則第2条)。



     
     これも重要な改正ですね。

     遺言や遺産分割により法定相続分を超えて相続分を取得した場合には,その法定相続分を超える部分については,登記をしなければ,第三者に対抗することができません(民法899条の2第1項)。

     逆にいえば,法定相続分は,登記なくして,第三者に対抗することができるということです。

     ただし,これは,記述式問題よりも,民法の択一式問題用の知識ですね。

     とはいうものの,記述式問題化してみます。
     

    【問題】

     次の登記記録及び事実関係に基づく,申請すべき登記を検討せよ。

    (登記記録の記録)
    甲区
     3番 所有権移転 所有者A

    (事実関係)
    1 令和2年4月1日,甲土地を有するAが死亡した。相続人は,子であるB及びCである。
    2 Aは,令和元年5月1日,甲土地をCに相続させる旨の遺言をしていた。遺言執行者は,Eである。
    3 Bは,甲土地を単独で取得した旨の相続を登記原因とする所有権の移転の登記をした上で,令和2年7月1日,甲土地をDに売却し,売買を登記原因とする所有権の移転の登記を完了させた。




     上記【問題】において申請すべき登記を知りたい皆様,クリックお願いします(反映が遅れている場合があります。期間限定)。
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    民法(配偶者居住権を除く相続関係)の改正に関する登記先例に基づく記述式問題対策(2)

     こんにちは。

     今回もやっていきましょう。

     と,その前に,久しぶりに,このブログのコンセプトを確認させてください。

     コンセプトは二つあります。

     一つは,論点至上主義であること。

     本試験の現場において,やる気等の前向きな気持ちは大切ですが,それだけでは当然正解を出すことはできません。

     正解を出すために必要なもの,それが論点に対する理解と知識です。

     過去問ではない,合否を分ける論点を学べるようにすること。これが,論点至上主義です。

     二つ目は,講義相当であること。

     皆様がどれぐらいの頻度や時間でこの記事を読んでいただいているかは分かりませんが,できるだけ講義のレベルを維持できるようにすることが重要と考えています。
     

     民法(配偶者居住権を除く相続関係)の改正に関する登記先例に基づく記述式問題対策(1)






    ウ 遺言の執行の妨害行為の禁止
     遺言執行者がある場合には,相続人は,相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができないとされているところ(法第1013条第1項),法第1013条第1項の規定に違反してした行為は,無効となることを明確にしつつ,ただし,これをもって善意の第三者に対抗することができないとして(同条第2項),善意者保護規定を設けている。
     また,これらの規定は,相続人の債権者(相続債権者を含む。)が相続財産についてその権利を行使することを妨げないとされ(同条第3項),相続債権者を含む相続人の債権者については,その適用がないことが明確化された。この相続債権者等による相続財産についての権利行使としては,相続債権者等による差押え等の強制執行等が該当する。
     この改正後の規定は,改正法の施行の日(令和元年7月1日)以後に開始した相続について適用され,同日前に開始した相続については,なお従前の例によるとされた(改正法附則第2条)。




     遺言執行者がある場合における相続人がした処分は無効ですが(民法1013条2項),遺言の内容を知らない第三者を保護すべきですので,善意者保護規定が設けられています(同条2項)。

     ここで,前回出題した【設問】の答え合わせをしましょう。


    【設問】

     被相続人がX,相続人が子であるA及びBである場合に,Xがその遺産に属する甲土地をAに相続させる旨の特定財産承継遺言をし,Cを遺言執行者に指定していたにもかかわらず,Bが相続開始後に善意のDに対して甲土地の2分の1の共有持分を譲渡した。この場合,Dは,Aに対して,その共有持分の取得を対抗することができる。



     

     皆様は正解できましたか?


     正解は,「誤り」です。


     第三者であるDが善意であることから,Dは,Aに対して,その共有持分の取得を対抗することができるということになりそうです。

     しかし,Dが善意だということは,Bの無権限が治癒され,処分権限を有していたものと法律上取り扱われることになるということを意味しています。

     すなわち,Dが善意であるということにより,XからA,BからDという二重譲渡に類似した関係が作出されることになります。

     そうすると,善意のDがAに対抗するためには,Aより先に登記を経由しなければなりません

     【設問】は,Dの対抗要件の具備に触れることなく,Aに対して,その共有持分の取得を対抗することができるとしている点が,誤りです。

     と,長々と説明してきましたが,この論点は,民法の択一式問題用です

     




    エ 特定財産に関する遺言の執行
     遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは,遺言執行者は,当該共同相続人が法第899条の2第1項に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができるとされた(法第1014条第2項)。
     また,法第1014条第2項の規定にかかわらず,被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは,その意思に従うとされた(同条第4項)。
     なお,遺言執行者は,一般に,法定代理人であると解されており,これは,改正前後で異なることはない。
     これにより,不動産を目的とする特定財産承継遺言がされた場合に,遺言執行者は,被相続人が遺言で別段の意思を表示したときを除き,単独で,法定代理人として,相続による権利の移転の登記を申請することができることとなる。
     おって,相続人が対抗要件を備えることは,遺言の執行の妨害行為(法第1013条第1項)に該当しないため,当該相続人が単独で,相続による権利の移転の登記を申請することができることは,従前のとおりである。
     この改正後の規定は,改正法の施行の日(令和元年7月1日)前にされた特定の財産に関する遺言に係る遺言執行者によるその執行については適用しないとされた(改正法附則第8条第2項)。




     この部分は,めちゃくちゃ重要です。

     特定財産承継遺言に基づき法定相続分を超えて相続分を取得した場合に,その超過部分につき登記を経由しなければ第三者に対抗することができなくなったことに伴い(民法899条の2第1項。この改正は,次回登場します。),遺言執行者に対して,特定財産承継遺言があった場合の登記を申請する権限が付与されています(同法1014条2項)。

     この改正は,特定財産承継遺言に基づく相続登記の申請人に影響を与えます。

     改正前は,特定財産承継遺言の受益者だけが申請することができるとされていましたが(この点は,平成25年度の不動産登記法の記述式問題に出題されています。),改正後は,受益者が申請できるほか,遺言執行者も申請することができるようになりました。

     したがって,司法書士に対して相続登記を依頼しているのが,受益者であるか,それとも遺言執行者であるかを丁寧に確認する必要があります。

     その場合においては,経過措置にも注意する必要があります。

     特定財産承継遺言に基づく相続登記を申請するのが受益者であるか,遺言執行者言であるかの判断基準は,特定財産承継遺言の作成日とこの改正法の施行日の前後です。

     特定財産承継遺言の作成日が,この改正法の施行日(令和元年7月1日)より前であれば,受益者が申請し(遺言執行者には申請権限がありません。),この改正法の施行日(令和元年7月1日)以降であれば,受益者又は遺言執行者が申請することになります。
     
     そのため,令和元年7月1日という日付は,非常に重要となります。

     「元」は「1」ということですので,「171」は,「いない」と覚えてください。

     関西の方は,「いないち」って覚えてもいいかもしれません。
     (171号線をそう呼びますよね?)






     オ 遺言執行者の行為の効果
     遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は,相続人に対して直接にその効力を生ずるとされ(法第1015条),遺言執行者が行為をする場合には,自らの資格を示してすることを要し,また,その遺言執行者の行為の効力が直接に相続人に対して生ずることが明確化された。
     この改正後の規定は,改正法の施行の日(令和元年7月1日)以後に開始した相続について適用され,同日前に開始した相続については,なお従前の例によるとされた(改正法附則第2条)。




     この部分は,民法の択一式用です。




     

    カ 遺言執行者の復任権
     遺言執行者は,自己の責任で第三者にその任務を行わせることができるとされ(ただし,遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは,その意思に従う。)(法第1016条第1項),遺言執行者についても,他の法定代理人と同様の要件で,復任権が認められた。
     この改正後の規定は,改正法の施行の日(令和元年7月1日)以後にされた遺言に係る遺言執行者について適用され,同日前にされた遺言に係る遺言執行者の復任権については,なお従前の例によるとされた(改正法附則第8条第3項)。




      この部分も,民法の択一式用です。


    キ 撤回された遺言の効力
     法第1022条から第1024条までの規定により撤回された遺言は,その撤回の行為が,撤回され,取り消され,又は効力を生じなくなるに至ったときであっても,その効力を回復しないとされているところ(法第1025条本文),その行為が錯誤,詐欺又は強迫による場合は,この限りでないとされた(同条ただし書)。
     これは,民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号。以下「改正債権法」という。)により,錯誤に基づく意思表示が詐欺,強迫とともに取消しの対象とされたことから(同法による改正後の民法第95条第1項),撤回行為が錯誤に基づく場合を含め,その遺言の効力が否定されないことが明記されたものである。
     この改正後の規定は,改正債権法の施行の日(令和2年4月1日)から施行するとされ(改正法附則第1条第3号),同日前に撤回された遺言の効力については,なお従前の例によるとされた(同附則第9条)。




      この部分も,民法の択一式用です。






     今回は,ここまでとします。

     次回に向けて,以下の設問を検討してください。


    【設問】

     遺留分減殺を登記原因とする所有権の移転の登記を申請することはできない。


    民法(配偶者居住権を除く相続関係)の改正に関する登記先例に基づく記述式問題対策(1)

     こんにちは。

     今回は,民法(配偶者居住権を除く相続関係)の改正に関する登記先例に基づく記述式問題対策を行います。

     以下,令元.6.27民二68号の民法関連の記述を引用しつつ,記述式問題における注意点を示しておきます。






    2 民法改正関係
    (1) 遺産分割に関する見直し
    ア 遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲
     遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても,共同相続人は,その全員の同意により,当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができることが明確化された(法第906条の2第1項)。
     また,法第906条の2第1項の規定にかかわらず,共同相続人の一人又は数人により同項の財産が処分されたときは,当該共同相続人については,同項の同意を得ることを要しないとされた(同条第2項)。
     この改正後の規定は,改正法の施行の日(令和元年7月1日)以後に開始した相続について適用され,同日前に開始した相続については,なお従前の例によるとされた(改正法附則第2条)。




     この部分は,無理すれば記述式問題の論点とすることができるかもしれませんが,現実的ではありません。

     ということで,民法の択一式用の知識として押さえておくことにとどめましょう。






    イ 遺産の分割の協議又は審判等
     共同相続人は,法第908条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き,いつでも,その協議で,遺産の全部又は一部の分割をすることができるとされ(法第907条第1項),遺産の全部のほか,一部の分割をすることができることが明確化された。
     また,遺産の分割について,共同相続人間に協議が調わないとき,又は協議をすることができないときは,各共同相続人は,その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができるとされた(同条第2項本文)。
     この改正後の規定は,改正法の施行の日(令和元年7月1日)以後に開始した相続について適用され,同日前に開始した相続については,なお従前の例によるとされた(改正法附則第2条)。




     別紙として提示された遺産分割協議書の内容が遺産の全部であるか一部であるかは,申請すべき登記に影響はないように思えるかもしれません。

     例えば,被相続人の不動産のみの遺産分割をし,預貯金や株券については遺産分割をしていないといった場合は,そのとおりでしょう。

     しかし,被相続人が甲不動産と乙不動産を所有していた場合において,甲不動産についてのみ遺産分割がされた場合には,甲不動産については遺産分割に基づく相続登記を,乙不動産については法定相続登記を,それぞれ申請することになります。

     といっても,この点は,これまでも答練・模試では出題されている論点ですので,先例のこの部分も,記述式問題の影響は実質的にはないといえるでしょう。






    (2) 遺言制度に関する見直し
    ア 自筆証書遺言
     自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(法第997条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には,その目録については,自書することを要しないとされ,この場合において,遺言者は,その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては,その両面)に署名し,印を押さなければならないとされた(法第968条第2項)。
     これにより,遺言書の末尾に添付されることが多い,いわゆる遺産目録については,各ページに署名し,印を押したものであれば(用紙の片面に目録の記載があるときは,署名及び押印は裏面でもよい。),パソコン等により作成したもの,遺言者以外の者が代筆したもの,登記事項証明書等を添付してこれを目録とするもの等であっても認められることとなる。
     また,自筆証書(法第968条第2項の目録を含む。)中の加除その他の変更は,遺言者が,その場所を指示し,これを変更した旨を付記して特にこれに署名し,かつ,その変更の場所に印を押さなければ,その効力を生じないとされているところ(同条第3項),この目録中の加除その他の変更については,同目録以外の部分と同様の方式によってすることを要するとされた。
     この改正後の規定は,改正法の施行の日(平成31年1月13日)以後にされた自筆証書遺言について適用され,同日前にされた自筆証書遺言については,なお従前の例によるとされた(改正法附則第6条)。



     
     この部分は,要注意の改正事項です。

     まずは,別紙として示された遺言が,「自筆証書遺言」であることを確認しましょう。公正証書遺言は,そもそも自書ではありません。

     その上で,相続財産目録が自書でない場合(※)に,その自筆証書遺言に基づく相続登記を申請するのか,それとも法定相続登記を申請するかを判断することになります。

     ※ 自書であるかは,別紙の枠外等で示されると考えられます。

     そして,その自筆証書遺言に基づく相続登記を申請するのか,それとも法定相続登記を申請するかの判断基準は,自筆証書遺言の作成日とこの改正法の施行日の前後です。

     相続財産目録が自書でない自筆証書遺言の作成日が,この改正法の施行日(平成31年1月13日)より前であれば,当該自筆証書遺言は無効であり,当該自筆証書遺言に基づく相続登記を申請することはできず,法定相続登記を申請することになります。

     そのため,平成31年1月13日という日付は,非常に重要となります。

     「31113」は,「サインいいさ」と覚えてください。






    イ 遺言執行者の任務の開始及び権利義務
     遺言執行者は,その任務を開始したときは,遅滞なく,遺言の内容を相続人に通知しなければならないとされた(法第1007条第2項)。
     遺言執行者は,遺言の内容を実現するため,相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有するとされ(法第1012条第1項),遺言執行者の職務は遺言の内容を実現することにあり,必ずしも相続人の利益のために職務を行うものではないことが明確化された。
     また,遺言執行者がある場合には,遺贈の履行は,遺言執行者のみが行うことができるとされ(同条第2項),遺言執行者の権利義務が明確化された。
     この改正後の規定は,改正法の施行の日(令和元年7月1日)前に開始した相続に関し,同日以後に遺言執行者となる者にも適用するとされた(改正法附則第8条第1項)。



     
     この部分は,従前からの登記実務上の取扱い,すなわち,遺贈の登記は,遺言執行者があるときは当該遺言執行者が,遺言執行者がないときは共同相続人の全員が,それぞれ受遺者とともに申請することを確認するものにすぎません。

     なお,遺贈の登記については,以下の記事をお読みください。

     受遺者が共同相続人の一人である場合の遺贈を原因とする所有権の移転の登記の申請人 






     今回は,ここまでとします。

     次回に向けて,以下の設問を検討してください。


    【設問】

     被相続人がX,相続人が子であるA及びBである場合に,Xがその遺産に属する甲土地をAに相続させる旨の特定財産承継遺言をし,Cを遺言執行者に指定していたにもかかわらず,Bが相続開始後に善意のDに対して甲土地の2分の1の共有持分を譲渡した。この場合,Dは,Aに対して,その共有持分の取得を対抗することができる。

    (参考)
    (遺言の執行の妨害行為の禁止)
    第1013条 遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。
    2 前項の規定に違反してした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
    3 前2項の規定は、相続人の債権者(相続債権者を含む。)が相続財産についてその権利を行使することを妨げない。


    受遺者が共同相続人の一人である場合の遺贈を原因とする所有権の移転の登記の申請人
    【令和2年度(2020年度)対策の電子書籍】

    □ 記述式過去問集【不動産登記法】(昭和57年度~平成9年度)[民法(債権関係・相続関係)改正対応版]
     * 関連記事: 記述式過去問集【不動産登記法】(昭和57年度~平成9年度) [民法(債権関係・相続関係)改正対応版]
    □ 2020目標 不動産登記法の記述式問題対策 答案作成上のポイント
    □ 民法の重要判例(平成10年-平成31年・令和元年)






     こんにちは。

     今回は,受遺者が共同相続人の一人である場合の遺贈を原因とする所有権の移転の登記の申請人について考えてみます。

     まずは,事例を設定します。


    【事例】

    1 Aは,甲土地の所有権の登記名義人である。
    2 Aは,甲土地をBに遺贈する旨の遺言をした。
    3 Aが死亡した。Aの相続人は,B及びCである。




     上記【事例】において,申請すべき登記につき申請情報を作成してみてください。





     (申請情報作成中)





     解答例は,次のとおりです。


    登記の目的 所有権移転
    登記原因及びその日付 令和年月日遺贈
    権利者 
    義務者  
     申請人(相続人) 
    添付情報
     登記原因証明情報 Aの登記識別情報 Cの印鑑証明書 Bの住所証明情報 Aの相続証明情報 B及びCの委任状




     厳しい言い方をあえてしますが,この時期の受験生の皆様が間違って良いのは,「申請人(相続人) 」の部分です。

     結論を先にお伝えしますと,受遺者が共同相続人の一人である場合の遺贈を原因とする所有権の移転の登記の申請人について,登記義務者側の申請人となるのは,受遺者である共同相続人以外の共同相続人です。

     僕は,勉強不足でした。恥ずかしいです。


     以下,僕の勉強の成果をお伝えさせてください。






     この点につき,最初に疑問に思ったのは,司法書士内藤先生のブログの以下の記事を読ませていただいたときです。

     
     「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて」


     内藤先生も指摘されていますが,受遺者が共同相続人の一人である場合の遺贈を原因とする所有権の移転の登記の申請人について,登記義務者側の申請人となるのは,受遺者である相続人を含めた相続人全員ではないか?

     僕は,民事月報を購読していないため,いつか内藤先生が引用している論文が登記研究か登記情報に掲載されると考えていたところ,登記研究に掲載されました(866号P18~39)。

     この論文は,民法(相続関係)の改正のうち,配偶者居住権以外に関する通達(令元.6.27民二68号)を法務省の担当者の方が解説するものです。

     以下,その登記研究の記事のうち,今回の論点に関する部分を引用させていただきます(866号P25)。ただし,太字の部分は,姫野が行いました。


     遺贈による所有権の移転の登記については,これが特定遺贈であるか包括遺贈であるかにかかわらず,遺言執行者がある場合には遺言執行者が登記義務者となり,また,遺言執行者がない場合には,相続人全員(受遺者が共同相続人の一人である場合には受遺者以外の相続人)が登記義務者となって,登記権利者である受遺者との共同申請によることとなるのであって,遺言執行者があるにもかかわらず相続人が登記義務者となって申請がされた場合には,当該申請は受理することができないと考えられる。




     まず,基本的事項の確認として,遺贈を原因とする所有権の移転の登記の登記義務者は,遺言者(死亡した所有権の登記名義人)であり(不登法2条13号),相続人や遺言執行者が登記義務者となることはありません。

     相続人や遺言執行者が,あくまで登記義務者に代わって登記を申請する者です(不登法62条)。

     この論文において,法務省の担当者の方は,この基本的事項を見逃しています。

     次に,論文中の「登記義務者」を「申請人」に読み替えたとして,注目すべきは,「相続人全員(受遺者が共同相続人の一人である場合には受遺者以外の相続人)」という部分です。

     僕を含め,多くの方が,受遺者である共同相続人も登記義務者側の申請人になると考えていたことを覆す見解が提示されました。

     ただ,この時点では,僕は,「登記研究に示された法務省の人の見解にすぎない」と考えていました(なんて偉そうなことでしょう。)。

     しかし,この考えでは済まされない重要な見解が示されました。


     その見解が,配偶者居住権に関する令2.3.30民二324号です。上記と異なり,法務省の担当者の方の解説ではなく,登記先例本体です。

     配偶者居住権に関する令2.3.30民二324号においては,特定財産承継遺言に基づき配偶者居住権の設定の登記をするために相続登記ではなく遺贈の登記をすることなど,テクニカル登記手続が示されているのですが,それはさておき,遺贈の登記について,以下の記述があります。ただし,太字の部分は,姫野が行いました。

     

     この場合における所有権の移転の登記の申請は,登記原因が「遺贈」となることから,相続人(受遺者である相続人を除く。)を登記義務者とし,受遺者(受遺者である相続人)を登記権利者とする共同申請によることとなるところ,遺言執行者があるときは,当該遺言執行者が,登記義務者の立場から,その資格において当該登記を申請することとなる。




     この登記先例も,「登記義務者」と「申請人」とを正確に区別していないところがありますが,やはり,受遺者が共同相続人の一人である場合の遺贈を原因とする所有権の移転の登記の申請人について,登記義務者側の申請人となるのは,受遺者である共同相続人以外の共同相続人のようです。

     登記先例がその取扱いを示している以上,今後は,この取扱いに従うべきですね。

     ところで,僕を含め,なぜ多くの方が,受遺者である共同相続人も登記義務者側の申請人になると考えていたのでしょうか?

     この点を調べると,まず,今回の法務省の担当者の方の論文や登記先例以前に,登記研究において,以下の見解があることが分かりました(364号P79)。ただし,太字の部分は,姫野が行いました。

     

     特定遺贈された農地について所有権移転登記の申請をする場合には,受遺者は①遺言執行者が選任されている場合には遺言執行者と,②その他の場合には受贈者の相続人(受遺者が共同相続人の1人の場合は,受遺者以外の相続人)との共同申請によるべきである。




     登記研究364号は,1978年(昭和53年)3月20日発行ですので,40年前からずっとこの取扱いだったようです...。 

     さらに調べると,多くの方の勘違いを原因を突き止めることとなった(かもしれない)見解にたどり着きました。

     その見解とは...?



     権利者となる共同相続人も登記義務者側の申請人となると勘違いさせることとなった(かもしれない)見解を知りたい皆様,クリックお願いします(反映が遅れている場合があります。期間限定)。
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    会社法人等番号の提供により省略することができる添付情報の申請情報上の取扱い

     こんにちは。

     前回の記事で,会社法人等番号による印鑑証明書の提供の省略に関する登記先例を解説しました。

     【ポイント解説】不動産登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う不動産登記事務等の取扱いについて(通達)(令2.3.30民二318号)

     その中で,今後,不動産登記法の記述式問題における添付情報の答案用紙への記載について,具体的な記載が求められる可能性があるという点について言及しました。

     そこで,今回の記事においては,会社法人等番号の提供することにより一定の添付情報を省略した場合における申請情報例を示すこととします。

     ポイントは,会社法人等番号の提供により省略することができる=添付情報欄への記載を省略することができるというわけではないということです。

     すなわち,会社法人等番号の提供により省略することができる添付情報も,添付情報欄への記載が求められるものがあります。


    登記の目的 所有権移転

    登記原因及びその日付 令和年月日売買

    権利者 甲市甲町一丁目2番3号 株式会社B(会社法人等番号 1234-56-789012)

    義務者 乙市乙町二丁目3番4号 株式会社A(会社法人等番号 1234-56-789011)

    添付情報
     登記識別情報
     登記原因証明情報
     会社法人等番号
     代理権限証明情報
     印鑑証明書(会社法人等番号 1234-56-789011)
     住所証明情報




     売買を原因とする所有権の移転の登記の添付情報に関して,会社法人等番号の提供により省略することができる添付情報としては,次のものがあります(平27.10.23民二512号,令2.3.30民二318号)。


     ① 代表者資格証明情報
     ② 住所証明情報
     ③ 印鑑証明書




     ①は,申請人欄に会社法人等番号を記載し,添付情報欄に「会社法人等番号」と記載する取扱いです。

     ②は,会社法人等番号の提供により省略することができても,添付情報欄に「住所証明情報」と記載する取扱いです。

     ③は,申請人欄に会社法人等番号を記載し,添付情報欄に「会社法人等番号(何番)」と記載する取扱いです。


     申請人欄にも示した具体的な会社法人等番号を,なぜ添付情報欄の「印鑑証明書」の続けて記載する必要があるのか?

     この点を正確に説明できると良いのですが,残念ながら,僕には分かりません。

     ごめんなさい。

     
     不動産登記法の記述式問題の添付情報欄の記載の変遷が知りたい皆様,クリックお願いします。
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    【ポイント解説】不動産登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う不動産登記事務等の取扱いについて(通達)(令2.3.30民二318号)

     こんにちは。 

     今回は,「不動産登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う不動産登記事務等の取扱いについて(通達)」(令2.3.30民二318号)のポイントを解説します。

     「会社法人等番号を提供することにより,法人の印鑑証明書の提供を省略することができるようになった。」ということを知っている方は多いと思います。

     この知識の精度をもっともっと高めておきましょう。

     会社法人等番号による「申請書」についての印鑑証明書の提供の省略のルールは,次のとおりです。


     申請書に記名押印すべき者が会社法人等番号を有する法人の代表者又は代理人(委任による代理を除く。)である場合において,当該法人の会社法人等番号を添付情報として提供するほか,さらに申請情報の内容にもしたときは,申請を受けた登記所の登記官が当該者の印鑑証明書を作成することができる場合に限り,当該者に係る印鑑証明書の提供を要しない(不登規則48条1号)。




     会社法人等番号による申請書についての印鑑証明書の提供を省略するためには,

     ① 添付情報として会社法人等番号を提供すること。
     ② 会社法人等番号を申請情報の内容とすること。
     ③ 申請を受けた登記所の登記官が当該者の印鑑証明書を作成することができること。



     の3つの要件を充足する必要があります。

     以下は,出題した問題ですが,「上記③の要件を示すことなく,印鑑証明書の提供を要しない」としているため,「誤り」です。

    【問題】

     申請書に記名押印すべき者が会社法人等番号を有する法人の代表者又は代理人(委任による代理を除く。)である場合において,当該法人の会社法人等番号を添付情報として提供し,さらに申請情報の内容にしたときは,当該者に係る印鑑証明書の提供を要しない。


     
     
     なお,会社法人等番号を申請情報の内容とするときは,申請書における添付情報の表示として「印鑑証明書(会社法人等番号何番)」の例により記載することとされています。


     以上は,会社法人等番号による「委任状」についての印鑑証明書の提供の省略についても,同様です。


     代理人(復代理人を含む。)の権限を証する情報に記名押印すべき者が会社法人等番号を有する法人の代表者又は代理人である場合において,当該法人の会社法人等番号を添付情報として提供するほか,さらに申請情報の内容にもしたときは,申請を受けた登記所の登記官が当該者の印鑑証明書を作成することができる場合に限り,当該者に係る印鑑証明書の提供を要しない(不登規則49条2項1号)。




     また,会社法人等番号による「同意書」又は「承諾書」についての印鑑証明書の提供の省略についても,同様です(不登規則50条2項,48条49条2項1号)。


     



     令和2年度司法書士試験において,法人である所有権の登記名義人が登記義務者となる場合における印鑑証明書は,会社法人等番号を提供することにより省略することができます。

     ところで,近年の記述式問題においては,添付情報についての理解は【添付情報一覧】から添付情報を正確に選択することができるかにかかっていますが,これが以前のように,具体的な記載が求められる可能性もあるわけです。

     ここで,問題です。

     株式会社Aを登記義務者とする所有権の移転の登記の申請情報に,株式会社Aについて「会社法人等番号」の文字は何回記載しなければならないでしょうか?
    令和2年度司法書士試験の法令等の適用日付近の通達について

     こんばんは。

     令和2年3月末に,重要な法令の改正に関する通達3本発出されました。


     ① 不動産登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う不動産登記事務等の取扱いについて(通達)(令2.3.30民二318号)
     ② 民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(配偶者居住権関係)(通達)(令2.3.30民二324号)
     ③ 民法の一部を改正する改正する法律等の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(通達)(令2.3.31民二328号)




     ①は,会社法人等番号の提供等により印鑑証明書の提供を省略することができるとするもの,②は,配偶者居住権関係,③は,民法(債権関係)の改正関係です。

     時期的に考えて,多くの受験生の皆様から令和2年の司法書士試験で出題されないと思われり,僕もまた出題されない部分はあると思いますが,①は,記述式問題の内容次第で採点には影響があり②は,既存の論点への影響もあります

     そこで,次回から何回かに分けて,上記①から③までの通達についての令和2年度司法書士試験対策におけるポイントを解説していきます。

     今回は,本格的な解説を開始する次回に向けて,力試しをしていただきます。

     以下の設問の正誤を判断してください。


    【問題】

     申請書に記名押印すべき者が会社法人等番号を有する法人の代表者又は代理人(委任による代理を除く。)である場合において,当該法人の会社法人等番号を添付情報として提供し,さらに申請情報の内容にしたときは,当該者に係る印鑑証明書の提供を要しない。


    会社法人等番号を提供する場合における添付情報欄の表示



     こんばんは。

     『そうだ,会社法人等番号使おう。』というどこかで聞いたことがある宣伝文句を使いたくなるぐらい,不動産登記手続における会社法人等番号の利用が広がっています。

     しかも,この会社法人等番号の利用は,実務だけでなく,司法書士試験に,そう,今年の司法書士試験に影響を与えるものとなっておりますので,しっかりと押さえておくべきです。

     問題形式で整理しましょう。

     と,その前に確認します。


     会社法人等番号を提供する場合は,申請人の名称に続けて,例えば「会社法人等番号 1234-56-789012」と記載します(平27.10.23民二512号)。


     では,問題にいきましょう。


    【問題】

     次の①から⑤までの添付情報の,添付情報欄の表示を述べよ。
    ① 会社法人等番号
    ② 登記原因証明情報
    ③ 印鑑証明書
    ④ 住所証明情報
    ⑤ 代表者資格証明情報



    成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律と信託法
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    □ 記述式過去問集【不動産登記法】(昭和57年度~平成9年度)[民法(債権関係・相続関係)改正対応版]
     * 関連記事: 記述式過去問集【不動産登記法】(昭和57年度~平成9年度) [民法(債権関係・相続関係)改正対応版]
    □ 2020目標 不動産登記法の記述式問題対策 答案作成上のポイント
    □ 民法の重要判例(平成10年-平成31年・令和元年)





     
     こんにちは。

     久しぶりの更新となります。

     最新情報は,ツイッターでアップしているので,そちらも見てください。

     3月30日と31日に重要な通達が発出されています。

     登記というものは,申請が最初にあってのものであるため,こんなぎりぎりに,しかも,通達の名宛人を国民にしていないのもどうかと思いますが,まあいいでしょう。


    【民法(相続関係・配偶者居住権関係に限る。)改正に関する基本通達】
    「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(通達)(令22.3.30民二324号)

    【民法(債権関係)改正に関する基本通達】
    民法の一部を改正する法律等の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(通達)(令2.3.31民二328号)





     
     成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律により司法書士法が改正され,成年被後見人と被保佐人が司法書士の欠格事由ではなくなりました(司書法5条2号参照)。

     これは,成年被後見人等の人権が尊重され,成年被後見人等であることを理由に不当に差別されないようにするための改正です。

     なお,事理弁識能力を「欠く常況」にある成年被後見人や「著しく不十分」であり被保佐人が司法書士としての業務を行うことができるかという疑問があるかもしれませんが,成年被後見人等が「心身の故障により司法書士の業務を行うことができないとき。」は,日本司法書士会連合会は,その登録を拒否しなければならず(司書法10条1項2号),また,司法書士である成年被後見人等が「心身の故障により業務を行うことができないとき。」は,日本司法書士会連合会は,その登録を取り消すことができるとされている点には注意が必要です(同法16条1項2号)。


     ところで,成年被後見人や被保佐人は,信託の受託者になることができるでしょうか?

     この点も,成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律により信託法が改正され,成年被後見人や被保佐人も受託者としてすることができるようになりました(同法7条参照)。

     では,受託者が後発的に後見開始又は保佐開始の審判を受けた場合の登記手続はどうなるでしょうか?

     受託者の任務が後見開始又は保佐開始の審判により終了し,新受託者が選任された場合には,当該新受託者が単独で申請することができます(不登法100条1項)。

     また,受託者が2人以上ある場合において,そのうち少なくとも1人の受託者の任務が後見開始又は保佐開始の審判により終了したときは,他の受託者が単独で申請することができます(不登法100条2項)。

     これらの取扱いに変更はあるのでしょうか?



      『受託者が後見開始又は保佐開始の審判を受けた場合の登記手続』は,以下のバナーをクリックすると,見ることができます(反映が遅れている場合があります。期間限定です。)。
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    【まとめ】遺言の文言通りでない登記(2020.3.26改訂)

    こんにちは。


     今回は,遺言の文言通りでない登記【まとめ】です。

     「遺言の文言通りでない」には,2つの意味があります。

     まず,その遺言に基づく登記を申請することができるのは前提として,遺言の文言通りでないという意味です。

     次に,その遺言に基づく登記を申請することができないことから,遺言の文言通りでないという意味です。
     

    1 その遺言に基づく登記を申請することができることを前提として,遺言の文言通りでない場合



     具体的には,遺言書に「相続」とあるのに「遺贈の登記」を申請する場合と,遺言書に「遺贈」とあるのに「相続登記」を申請する場合です。

     この点については,以下の記事をお読みください。

     遺言の文言通りでない登記【問題編】
     遺言の文言通りでない登記【解答編】


    2 その遺言に基づく登記を申請することができないことから,遺言の文言通りでない場合



     今回説明したかったのは,こちらのパターンです。

     具体的には,以下の場合です。


     (1) 相続させる趣旨の遺言で,受益者が遺言者よりも前に死亡した場合
     (2) 遺贈する旨の遺言で,受遺者が遺言者よりも前に死亡した場合
     (3) ???
     (4) ???




     以下,論点を確認します。


     (1) 相続させる趣旨の遺言で,受益者が遺言者よりも前に死亡した場合



     以下のような先例と判例があります。

    【先例】
     遺言者が,その者の法定相続人中の1人であるAに対し,「甲不動産をAに相続させる」旨の遺言をして死亡したが,Aが遺言者よりも先に死亡した場合には,Aの直系卑属A’がいるときであっても,遺言書中にAが先に死亡した場合にはAに代わってA’に相続させる旨の文言がない限り,甲不動産は,遺言者の法定相続人全員に相続されると解されるため,その相続登記を申請すべきである(民法994条1項類推適用,昭62.6.30民三3411号)。

    【判例】
     遺産を特定の推定相続人に単独で相続させる旨の遺産分割の方法を指定する「相続させる」旨の遺言は,当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には,当該「相続させる」旨の遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係,遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから,遺言者が,上記の場合には,当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り,その効力を生ずることはない(最判平23.2.22)。


     (2) 遺贈する旨の遺言で,受遺者が遺言者よりも前に死亡した場合



     次のような条文があります。

     遺贈は,遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは,その効力を生じない(民法994条1項)。

     遺贈が,その効力を生じない場合には,遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときを除き,受遺者が受けるべきであったものは,相続人に帰属する(民法995条)。


     (3) ???
     (4) ???




     この度,「2 その遺言に基づく登記を申請することができないことから,遺言の文言通りでない場合」に二つのケースを加えることとしました。

     
     そのうちの一つは,相続関係の改正を含みます。





     
     「その遺言に基づく登記を申請することができないことから,その文言が遺言通りでない場合」 が出題された場合,別紙として示された遺言書(統計的に見て,公正証書遺言と考えられます。)を無視することになります。

     今まであったでしょうか?


     「別紙を無視するのが正解」という記述式問題が。


     その遺言書に基づく登記を申請することができないと判断する実体法の知識とともに,単純に勇気が必要となります。


     では,また。


      『2 その遺言に基づく登記を申請することができないことから,遺言の文言通りでない場合」に加えられた二つのケース』は,以下のバナーをクリックすると,見ることができます(反映が遅れている場合があります。期間限定です。)。
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