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    平成31年度(2019年度)司法書士試験午後の部第37問・商業登記法の記述式問題ーなぜ答案用紙に吸収合併消滅会社の申請書記載事項を記載しないのかー
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     こんばんは。

     今回は,平成31年度(2019年度)司法書士試験午後の部第37問・商業登記法の記述式問題に関して,なぜ答案用紙に吸収合併消滅会社の申請書記載事項を記載しないのかについて論じます。






     平成31年度(2019年度)司法書士試験午後の部第37問・商業登記法の記述式問題(以下「本問」という。)においては,吸収合併とその登記手続に関する論点が出題された。


     本問においては,東京都港区に本店を置くスター株式会社を存続会社とし,東京都品川区に本店を置くムーン株式会社を消滅会社とする吸収合併が行われ,その手続の有効性の判断と登記手続が問われた。

     なお,東京都港区は東京法務局港出張所,東京都品川区は東京法務局品川出張所の管轄である(答案作成に当たっての注意事項10参照)。


     この吸収合併については,本問の答案用紙の第1欄に記載することとされたが,第1欄には登記の事由等を記載する欄が1個ずつしか存在せず,吸収合併が論点として出題された際の常識的な判断として,吸収合併存続会社が申請する吸収合併による変更の登記に関する申請書記載事項を記載すると判断せざるを得なかった。

     
     ところで,吸収合併に関する登記を答案用紙に記載させる問いは,「問1」であり,その内容は,次のとおりである。


     平成31年1月7日に司法書士法務直子が申請した登記のうち,東京法務局港出張所に申請する登記の申請書に記載すべき登記の事由,登記すべき事項,登録免許税額並びに添付書面の名称及び通数を第37問答案用紙の第1欄に記載しなさい。ただし,登録免許税額の内訳については,記載することを要しない。




     ポイントとなるのは,「東京法務局港出張所に申請する」とされている点である。


     すなわち,試験委員は,吸収合併存続会社であるスター株式会社が本店を置く東京都港区を管轄するのが東京法務局港出張所であることから,「東京法務局港出張所に申請する」と記載すれば,本問の答案用紙に吸収合併存続会社が申請する吸収合併による変更の登記の申請書記載事項を記載させることができると考えた可能性がある。


     逆にいうと,試験委員には,吸収合併消滅会社であるムーン株式会社が申請する吸収合併による解散の登記の申請書記載事項を記載させる意図がないと考えられる。


     試験委員に吸収合併消滅会社であるムーン株式会社が申請する吸収合併による解散の登記の申請書記載事項を記載させる意図がないことは,「平成31年度(2019年度)司法書士試験筆記試験(記述式問題)の出題の趣旨」に,「吸収合併による変更につき,提示された資料から読み取り,…吸収合併の効力が生ずるために必要な手続,吸収合併に際して吸収合併消滅会社の株主に交付する吸収合併存続会社の株式の数の算定等に留意しながら,登記の申請書を正確に記載した上,当該申請書の添付書面を特定し,納付すべき登録免許税の額を正確に計算することを求めるもの」とあり,吸収合併消滅会社に関する記述がないことからも,明らかである。


     では,吸収合併消滅会社が申請する吸収合併による解散の登記は,どこの法務局に申請するのか


     商業登記法82条2項は,次のように規定している。

     合併による解散の登記の申請は,当該登記所の管轄区域内に吸収合併存続会社の本店がないときは,その本店の所在地を管轄する登記所を経由してしなければならない。




     商業登記法82条2項をまとめは,次のとおりである。

    ⑴ 吸収合併消滅会社の本店の所在地を管轄する登記所の管轄区域内に,吸収合併存続会社の本店が「ある」とき
      → 吸収合併消滅会社の本店の所在地を管轄する登記所に申請する。
    ⑵ 吸収合併消滅会社の本店の所在地を管轄する登記所の管轄区域内に,吸収合併存続会社の本店が「ない」とき
      → 吸収合併存続会社の本店の所在地を管轄する登記所を経由して,吸収合併消滅会社の本店の所在地を管轄する登記所に申請する。




     つまり,吸収合併消滅会社の本店の所在地を管轄する登記所の管轄区域内に,吸収合併存続会社の本店が「ある」ときでも,「ない」ときでも,吸収合併による解散の登記の申請は,「吸収合併消滅会社の本店の所在地を管轄する登記所」に申請するということである。そこには,吸収合併存続会社の本店の所在地を管轄する登記所を経由するか否かの違いしかない。


     本問においては,吸収合併存続会社であるスター株式会社が本店を置く東京都港区を管轄するのが東京法務局港出張所であることから,「東京法務局港出張所に申請する」と記載すれば,答案用紙に吸収合併存続会社が申請する吸収合併による変更の登記の申請書記載事項を記載させることができる。


     以上により,本問の答案用紙には,吸収合併消滅会社であるムーン株式会社が申請する吸収合併による解散の登記の申請書記載事項を記載することはない。
     

     なお,本問と同様,吸収合併に関する登記が問われた平成24年度午後の部第37問・商業登記法の記述式問題においては,答案用紙に単に「申請すべき登記」を記載することが求められると同時に,「同時にすべき有限会社乙山商事(筆者注:吸収合併消滅会社)に関する登記については,記載することを要しない。」とされた。


     また,同じく吸収合併に関する登記が問われた平成14年度二次試験第37問・商業登記法の記述式問題においては,答案用紙に「司法書士が甲野商事株式会社(筆者注:吸収合併存続会社)について登記を申請すべき事項」を記載することが求められ,消滅会社である乙野商事株式会社に関する記載は求められなかった






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