推論問題に関する一考察です。
今回は,20-4・12-4に出題されている,94条2項の第三者に関する絶対的構成と相対的構成との対立についての推論問題です。
近年は,このように,同一の論点を題材とする推論問題が出題される例が非常に多いです。
平成16年,平成17年,平成18年,そしてこの平成20年にその例があります。
論点の内容的には,難しくもなく,典型論点です。
一度やっておいていただいきたい作業は,20-4と12-4の肢の同一性の確認です。同じ理由・根拠等が形を変えて出題されるということの意味が理解できると思います。
派生論点としては,
この論点の場合とは異なり,悪意の第三者が登場した後に善意の第三者が登場した場合の論点がありますが,これも出題済みの基本的な知識です。
中上級者の方は,以下の観点から知識を整理してみて下さい。
『他の論点において,絶対的構成的な考え方を採るものはないのか?』
ありますよね?
占有回収の訴えを提起することができない善意の第三者からの譲受人とか,
即時取得者からの転得者とか。
あと,110条の表見代理の場合の取扱いは,94条2項の第三者に関する考え方とは異なるところがあるので,しっかりまとめておくべきです。
具体的には,
Aの代理人Bが,権限外の手形を振り出し,C(相手方)がそれを取得し,さらにDがそれを取得したという事例において,
・ Cが110条の第三者に当たらない場合(悪意又は有過失である場合)において,Dが善意・無過失であるとき
と
・ Cが110条の第三者に当たる場合(善意・無過失である場合)において,Dが悪意又は有過失であるとき
に関する判例をまとめておく必要があります。
次回は,どんな推論問題が登場するのでしょうか?
では,また☆
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