このブログは,多くの受験生の方が司法書士試験に合格するために開設しました。
    喚起の限界
     こんばんは@新幹線です。

     2泊3日の出張を終え,新大阪を目指しています。

     渋谷校においては,記述式対策講座の商業登記法の10回までが終了し,あとは総合問題を12問解く回(2回)となりました。

     習得した解法を,じっくり熟成させていきましょう。

     


     僕たちの記述式問題の解法は,論点をとにかく喚起すること。要は,出題意図を読み,問題の『先回り』をすることです。

     講義の中で,さまざまな喚起事項を紹介するわけですが,今回は,その喚起の限界といえる事項を紹介したいと思います。

     


     皆さん,『代表権付与』の論点,しっかり押さえていますか?

     取締役会設置会社が取締役会を廃止し,代表取締役を定めない場合,従前代表取締役でなかった取締役に代表権が付与されます。

     この論点が出題される場合,取締役会が廃止されるわけですが,この取締役会の廃止には,連動する事項があります。

     例えば,責任の一部免除における免除機関が取締役会から取締役に変更されるということを挙げることができますが,ここでは,株式の譲渡による取得の承認機関(以下「譲渡承認機関」といいます。)が取締役会から株主総会に変更されるということを挙げておきます。

     取締役会の廃止による譲渡承認機関の変更は,会社法上,当然に生ずる効果であるため,例えば,定款に,「当会社の株式を譲渡による取得するには,取締役会の承認を要する。」という定めが残っていても,譲渡承認機関は株主総会となります。

     これを登記手続の点で考えてみましょう。

     その取締役会を廃止した会社の登記記録上の株式の譲渡制限に関する規定の内容が,「当会社の株式を譲渡による取得するには,取締役会の承認を要する。」というものである場合には,取締役会設置会社の定めの廃止と同時に,株式の譲渡制限に関する規定の変更の登記を申請する必要があります。

     ただし,「申請する必要がある」といっても,これは,「申請することが望ましい」という意味であって,申請しないと取締役会設置会社の定めの廃止の登記の申請が却下されるという意味ではありません。


     では,登記記録上の株式の譲渡制限に関する規定の内容が,「当会社の株式を譲渡による取得するには,取締役会の承認を要する。」というものである取締役会設置会社が取締役会を廃止した場合,「申請することが望ましい」ということで,譲渡承認機関を変更する定款の変更の決議を行っていないのに,勝手に,取締役会設置会社の定めの廃止の登記と併せて,株式の譲渡制限に関する規定の変更の登記を申請しても良いのでしょうか?

     この点は,「消極」に解されています。

     上記のとおり,会社法上の効果としては,譲渡承認機関は株主総会に変わっていますが,その旨の登記を申請するためにはやはり定款の変更の決議が必要であり,ちゃんと定款の変更が記載されている株主総会の議事録を添付する必要があります。

     試験委員が,この点を問いたいと考えた場合,第1号議案:取締役会設置会社の定めの廃止の件,第2号議案:株式の譲渡制限に関する規定の変更の件,が内容である株主総会の議事録を別紙として示す方法も考えられるものの,これは,正直すぎて,論点として機能しないことになります。

     じゃあ,どうするか?

     不動産登記法で出題されたように,司法書士が登記の申請に当たって公示上しておくことが望ましい定款の変更についてアドバイスする問題にしたり,議案をブランクにしておいて『登記の申請に必要な定款の変更がされているものとする。』という問題にしたりすることが考えられます。

     このような出題手法を採れば,気付く受験生と気付かない受験生を区別することができ,論点としての機能を果たすことになります。

     以上とは逆に,試験委員が,取締役会の廃止による代表権付与は問いたいが,譲渡承認機関の変更は問いたくないと考えた場合,問題は,どんな感じになるでしょうか?

     ここが,今回の記事のメインテーマである,「喚起の限界」です。

     僕は,記述式対策講座の商業登記法で,以下のような喚起を提案しました。

     別紙1
      株式の譲渡制限に関する規定
       当会社の株式を譲渡により取得するには,株主総会の承認を要する。
      取締役会設置会社に関する事項
       取締役会設置会社



     意味分かりますか?

     特徴的なのは,取締役会設置会社なのに,譲渡承認機関が株主総会という点です。

     すなわち,取締役会設置会社の原則的な譲渡承認機関は取締役会であり,これを株主総会とするためには,定款の定めが必要であり,上記別紙1の会社には,当該定款の定めが存在するということです。

     つまり,例外的な会社なんです。

     で,試験委員は,何でこのような例外的な会社を申請会社としたのかを考えてみる。

     そうすると,取締役会設置会社が取締役会を廃止して,代表権付与の論点を問うものの,譲渡承認機関の変更に伴う株式の譲渡制限に関する規定の変更の論点を避けるために,あらかじめ譲渡承認機関を株主総会としておいたと考えられます。

     どうでしょう? この論点喚起。

     これ以上の喚起はないというぐらい(その意味で,「喚起の限界」),難しい喚起ですが,ぜひ参考にしていただければと思います。

     


     ここまで書いて,我ながら思うことは,記述式対策講座,レベルが高すぎます。

     でも,僕は,お金と時間をいただく講座なのに,「落ちない答案」とか「ぎりぎり合格できる答案」の作成を売りにする気はありません。これらは,一歩間違えば,落ちる答案やぎりぎり不合格になる答案の作成を売りにしていることになります。

     とにかく,やれるだけのことはやって,『確実に』合格していただく。

     本気で受験して不合格になったときに味わう『一生合格できないかもしれない』という気持ちを完全に払拭し,『ここまでやれば確実に合格』という一定ラインを示すことが,中上級講座の使命だと,思っています。

     では,また。

     ↓ クリックお願いします! 
    にほんブログ村 資格ブログ 司法書士試験へ
    にほんブログ村

     ↓ 絶賛発売中。本気の出題予想事項を直前期に生かしてください。紹介記事は,こちらです。


     ↓ 絶賛発売中。直前期に効きます。
     
     
    【電子書籍】
    □ 平成25年度対策 憲法の出題実績と重要論点の項目の列挙
    □ 平成25年度対策 法人法基本通達完全対応問題集
    □ 平成25年度対策 司法書士試験の過去問【憲法】
    □ 平成25年度対策 司法書士試験の過去問【会社法及び商法】(平成18年度以降)
    □ 平成25年度対策 司法書士試験の過去問【商業登記法】(平成18年度以降)

    【過去問解析講座】
     過去問解析講座【ガイダンス】
     過去問解析講座(1)
     過去問解析講座(2)
     過去問解析講座(3)

    【平成25年度の記述式問題対策】
     平成25年度の記述式問題対策(1)
     平成25年度の記述式問題対策(2)
     平成25年度の記述式問題対策(3)
     平成25年度の記述式問題対策(4)
     平成25年度の記述式問題対策(5)
     平成25年度の記述式問題対策(6)
     平成25年度の記述式問題対策(7)
     平成25年度の記述式問題対策(8)
     平成25年度の記述式問題対策(9)
     平成25年度の記述式問題対策(10)
     平成25年度の記述式問題対策(11)
     平成25年度の記述式問題対策(12)

    【持分会社の社員】
     持分会社の社員(1)
     持分会社の社員(2)
     持分会社の社員(3)
     持分会社の社員(4)

    スポンサーサイト