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    最判平13.3.13を題材とする問題の解説

     おはようございます。

     昨日は更新できず,ごめんなさい。

     早速ですが,前回の記事の解説をします。

     まず,出題意図ですが,これ覚えてないと話にならない。ってことではありません。

     たしかに,物上代位を題材とする問題は出題可能性が高いですが,その出題には,既出の物上代位判例が含まれるでしょうから,最判平13.3.13を覚えてないと正解できないという問題が出題される方が可能性としては低いです。

     だから,最判平13.3.13は,あくまでお守り代わりです。

     次に中身の解説です。

     最判平13.3.13を題材とする問題

    1 場合分けの意味

     判旨の中の理由を参考にしています。

     まず,自働債権が抵当権設定登記よりも前に発生したか後に発生したかの部分です。判旨でいえば,「物上代位により抵当権の効力が賃料債権に及ぶことは抵当権設定登記により公示されているとみることができる」の部分。

     ここは,公示の問題。

     すなわち,賃借人が自己に対する賃料債権を受働債権とする相殺をしようと考えた際に,いきなり抵当権者がその賃料債権について物上代位権を行使したとします。
     
     そこで,賃借人が「いやいや,そんなの聞いてない!予測可能性がない!」って文句をいえるかどうかの問題です。

     自働債権が抵当権設定登記よりも後に発生した場合,賃借人は,抵当権設定登記により,その物上代位の可能性を認識することができるので,物上代位されても仕方ありません。

     逆に,自働債権が抵当権設定登記よりも前に発生した場合,賃借人は物上代位などされる可能性がないうちに自働債権を取得したということですから,物上代位されると文句がいえます。

     次に,相殺時期の部分。判旨でいえば,「物上代位権の行使としての差押えのされる前においては,賃借人のする相殺は何ら制限されるものではないが」の部分。

     ここは,眠れる獅子の問題。

     すなわち,物上代位とは,あくまで抵当権者の権利行使の一種なので,抵当権者が物上代位をしようと思わない限り,相殺(この他,一般債権者による差押え,債権譲渡も同じ。)は自由だということです。

     もっと分かりやすくいえば,抵当権者が本気になったら,大原相殺は許さないが,本気にならないうちは相殺を許すということです。

    2 場合分けの内容を組み合わせる

     以上の内容を組み合わせてみましょう。

     A:物上代位されるという認識ができない時期に自働債権が発生し,抵当権者が本気になる前に相殺が行われている。
     B:物上代位されるという認識ができない時期に自働債権が発生したが,抵当権者が本気になった後に相殺が行われている。
     C:物上代位されるという認識ができる時期に自働債権が発生したが,抵当権者が本気になる前に相殺が行われている。
     D:物上されるという認識ができる時期に自働債権が発生したが,抵当権者が本気になった後に相殺が行われている。



     以上を踏まえて,解答です。

     A: この場合,重視するのは前段。物上代位されるという認識ができない時期に自働債権が発生していますので,相殺が優先します。

     B: この場合も,重視するのは前段。たしかに抵当権者は本気になっていますが,物上代位されるという認識ができない時期に自働債権が発生している以上,相殺が優先します。

     C: この場合,重視するのは後段。物上代位されるという認識ができる時期に自働債権が発生しているため,賃借人としては物上代位に文句がいえない状況にあるところ,抵当権者が本気になっていないので,相殺が優先します。


     D: この場合も,重視するのは後段。物上代位されるという認識ができる時期に自働債権が発生しているため,賃借人としては物上代位に文句がいえない状況にあるところ,抵当権者が本気になっているので,物上代位が優先します。

     以上により,A~Cは相殺,Dは物上代位が入ります。

     難しいでしょう?

     では,ここで内緒の必殺技を。

     Dをしっかり覚えましょう。

     Dは,抵当権設定登記【後】に自働債権を取得した場合において物上代位としての差押え【後】の相殺が禁止される=物上代位が優先する,という内容です。

     この2つの【後】を意識して押さえていただければと思います。

     でも,ここで「おー,そうか~」と思っていただいた皆さん。

     この2つの【後】が重要だということは,最高裁自体が,判決の要旨として挙げていることから既に明らかなんです…。

     抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は,抵当不動産の賃借人は,抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって,抵当権者に対抗することはできない。


     
     でも,今改めて読むと,理解できるようになっているのでは,と思います。

     では,また。
     
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