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    ありのままで
    【新刊】


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     こんばんは。

     今回は,択一式対策講座【理論編】不動産登記法第10回の講義の中で説明した内容のうち,口頭による説明であったため伝わりにくかったかもしれない論点について説明します。

     順位の譲渡,順位の変更及び優先の定めは,いずれも優先弁済の順序を変更する手段です。

     これらの手段の適切な選択が重要であることは,講義の中で繰り返しているところですが,上記の論点のまとめは,次のとおりです。



    1 1番抵当権の2番抵当権への順位の譲渡の登記がされている場合において,1番抵当権の登記を抹消する場合には,当該順位の譲渡の登記は,登記官の職権により抹消される(登記研究384号P78,登記研究324号P75)。また,1番抵当権の2番抵当権への順位の譲渡の登記がされている場合において,2番抵当権の登記を抹消する場合にも,当該順位の譲渡の登記は,登記官の職権により抹消される(登記記録例446)。

    2 順位の変更に係る抵当権の登記が抹消された場合でも,順位の変更の登記事項中の当該抵当権の表示を抹消することはできない(昭46.12.27民事三960号)。

    3 元本の確定前の根抵当権について,一部譲渡を原因とする根抵当権の一部移転の登記とともに優先の定めの付記登記がされている場合において,その後,当該一部移転の登記の抹消がされても,優先の定めの付記登記が職権で抹消されることはない(登記研究540号P169。当事者が申請により抹消する。)。





     受講生ではない皆さん,上記1〜3の論点的共通項,分かりますか?


     それは,上記1〜3は,いずれも,順位の譲渡,順位の変更及び優先の定めという優先弁済の順序の変更が行われた後,それに絡んだ担保権の登記が抹消された場合の取扱いについてに関するものです。 

     優先弁済の順序の変更が行われた後,それに絡んだ担保権の登記が抹消された場合,その優先弁済の順序の変更が無意味になるわけですが(ただし,上記2については,無意味とはいいにくい。),

     「だったら,登記官が職権で,その優先弁済の順序の変更に関する登記を抹消しても良いのでは?」

     という考えが芽生えるところ,

     
     登記官の職権による登記は,法令に規定がない限り認められない


     とのルールが発動され,職権による抹消はできないことになります。



     上記2と3については。



     なぜ上記1は,法令に定めがないのに,職権による順位の譲渡の登記の抹消を認めているんだ?


     と問題提起をしておきながら申し訳ないのですが,

     こんな些末なことにこだわっていては合格が遠くなります。



     そういうもんだ。
     


     というポジティブな諦めが,皆さんを合格に導きます。


     ちなみに,僕は,上記1〜3の比較は,横断整理としては面白いが,1問の中で出題されることはないと考えていました。

     でも,過去問集で確認すると,1問の中で,上記1と3が出題されていました。

     以下は,H21-pm16です。

     登記官の職権による登記の抹消に関する次の1から5までの記述のうち, 正しいもの はどれか。
    1 所有権の保存の登記のない不動産について,差押えの登記とともに登記官が所有権の保存の登記を職権でした後,錯誤を原因として差押えの登記が抹消された場合,当該所有権の保存の登記は,登記官の職権により抹消される。
    2 確定前の根抵当権について,根抵当権者AからBへの一部譲渡による根抵当権の一部移転の登記とともに,優先の定めの付記登記がされた後,根抵当権の一部移転の登記が抹消された場合,当該優先の定めの付記登記は,登記官の職権により抹消される。
    3 1番抵当権から2番抵当権への順位の譲渡の登記がされた後,2番抵当権の登記が抹消された場合,当該順位の譲渡の登記は,登記官の職権により抹消される。
    4 1番抵当権から2番抵当権への順位の放棄の登記がされた後,1番抵当権を第2順位,2番抵当権を第1順位とする順位の変更の登記がされた場合,当該順位の放棄の登記は,登記官の職権により抹消される。
    5 買戻しの特約の付記登記がされている所有権の移転の登記が解除を原因として抹消された場合,当該買戻しの特約の登記は,登記官の職権により抹消される。




     ちなみに。


     上記2は,未出です。
    ※ なお,H21-pm16−4は,上記2ではないことに注意しましょう。ただし,根拠はまったく同じ先例です。

     
     では,また。

     なお,タイトルの「ありのままで」は,優先弁済の順序の変更に絡んだ担保権の登記の抹消を職権ではしないで,そのまま,ありのままで残しておくべきだという意味で使いましたが,他にもっと適切なタイトルがあることが間違いないことを申し添えておきます。

     ↓ 今回,普通に不動産登記法の勉強になった皆さん,クリックお願いします!!!シュールな横断的整理ができたと嬉しかったのですが,試験委員が先にやった整理みたいでした,悔しい。そうそう,年度別過去問集の改訂作業に入りました。電子書籍の刊行をお楽しみに。
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    【平成27年度司法書士試験対策】

     記述式問題の分析のアプローチ(1)
     記述式問題の分析のアプローチ(2)の予告
     記述式問題の分析のアプローチ(2)

     平成26年度司法書士試験の分析(1)ー午後の部第15問ウ【追記あり】
     平成26年度司法書士試験の分析(2)ー午後の部第36問(不動産登記法の記述式問題)
     平成26年度司法書士試験の分析(3)ー全般【追記あり】【再追記あり】
     平成26年度司法書士試験の分析(4)ー全般
     平成26年度司法書士試験の分析(5)-【速報版】民法の過去問からの出題数
     平成26年度司法書士試験の分析(6)-午前の部第28問エ
     平成26年度司法書士試験の分析(7)-試験上の注意事項と携行品
     平成26年度司法書士試験の分析(8)-午後の部第7問ウ【追記あり】
     平成26年度司法書士試験の分析(9)-本試験分析セミナーのレジュメ作成等
     平成26年度司法書士試験の分析(10)-本試験の現場における比較問題対策
     平成26年度司法書士試験の分析(11)-午後の部第37問(商業登記法の記述式問題)
     平成26年度司法書士試験の分析(12)-本試験分析セミナーのレジュメ 
     平成26年度司法書士試験の分析(13)-午後の部第36問(不動産登記法の記述式問題)
     平成26年度司法書士試験の分析(14)-午後の部第37問(商業登記法の記述式問題)

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