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    相続登記の抹消の省略
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    □ 商業登記規則等の一部改正の解説  
    □ 商業登記規則61条2項~4項の解説
    □ 平成26年会社法等一部改正の解説
    □ 平成26年会社法等一部改正一問一答問題集




     こんにちは。

     現在も,TACで全国公開模試第1回が実施されているところですが,ここでは,普通に論点解説します。

     予告の記事でも書きましたが,相続登記といえば,前提登記としての相続登記の要否が重要であるところ(H26-pm20参照),今回検討するのは,ある登記を申請する前提として既にされている相続登記の抹消を要するのかという論点を検討したいと思います。


     「そんな論点あったっけ?」と思われる受験生の方も多いと思いますが,以下の先例を知っていれば,とりあえず問題なしです。

     

     被相続人の生前売買による登記の未了の不動産につき,遺産分割により共同相続人の1人のために相続登記がされている場合には,当該相続登記の抹消をすることなく,当該相続登記の名義人である相続人から買主のための所有権の移転の登記を申請することができる(昭37.3.8民事甲638号)。




     出題実績としては,H12-pm23-イがあります。

     

     甲土地の所有者Aが死亡し,Aの相続人が子B・Cである。甲土地についてB・Cへの相続の登記が完了した後,AがDに対して甲土地の持分2分の1を売却する契約を締結していたことが判明した場合,B・Cは,売買を登記原因としてDへの持分の一部移転の登記を申請することができる。




     正解は,「正しい」です。


     上記昭37.3.8民事甲638号によると,被相続人の行った生前処分に気付かないでした相続登記は抹消せず,その相続登記を前提として生前処分に係る登記を申請することができると考えられます。

     では,次に掲げる事例においても,相続登記を抹消することなく生前処分等に係る登記を申請することができるでしょうか?


    【事例1】 甲土地の所有者Aが死亡し,Aの相続人が子Bである。甲土地についてBへの相続登記が完了した後,Aが死亡する前にCが甲土地を時効取得していたことが判明した。

    【事例2】 甲土地の所有者が権利能力なき社団であり,その代表者Aが登記名義を有していたところ,Aが死亡し,Aの相続人が子Bである。甲土地についてBへの相続登記が完了した後,新代表者Cが就任した。




     以下,分けて検討します。






    【事例1】 甲土地の所有者Aが死亡し,Aの相続人が子Bである。甲土地についてBへの相続登記が完了した後,Aが死亡する前にCが甲土地を時効取得していたことが判明した。



     この場合は,相続登記を抹消することを要しません。

     時効取得の対象となった不動産の所有権の登記名義人が時効の起算日後に死亡した場合,通常は,権利者を時効取得者,義務者を所有権の登記名義人として,時効取得者と所有権の登記名義人が共同で,時効取得を原因とする所有権の移転の登記を申請することになります(不動産登記法60条,62条,登記研究401号P161)。

     でも,相続登記がされている場合は,以下の実例によります。


     所有権の登記名義人についての相続登記がされているときでも,時効取得を原因とする所有権の移転の登記を申請することができる(登記研究401号P159)。








    【事例2】 甲土地の所有者が権利能力なき社団であり,その代表者Aが登記名義を有していたところ,Aが死亡し,Aの相続人が子Bである。甲土地についてBへの相続登記が完了した後,新代表者Cが就任した。



     この場合は,相続登記を抹消する必要があります。

     根拠は,以下の実例です。

     権利能力なき社団の代表者名義で登記されていた不動産について,代表者が死亡したことにより相続人名義に相続登記がされている場合において,相続開始後に新代表者が就任したときは,相続登記を抹消した後,死亡した旧代表者が登記義務者,新代表者が登記権利者となって「委任の終了」を登記原因として所有権の移転の登記を申請すべきである(登記研究518号P116)。



     なお,【事例2】において,相続開始に新代表者が就任していた場合には,もしかしたら相続登記の抹消を省略できるかもしれませんが,この点については,特に先例等もありませんので,疑問に思ったとしても,すぐに打ち消しておいてください。


     先例や実例は,すべての事例を網羅しているわけではありません。


     そのため,受験生の皆さんは,テキストに掲載されている先例や実例を覚えれば良いのであって,自分で事例を想定してその結論を考えたりすることは,時間の無駄です。

      
     ということで,今回は,昭37.3.8民事甲638号をベースとした,ある登記を申請する前提として既にされている相続登記の抹消を要するのかという論点の説明でした。


     平成25年度の不動産登記法の記述式問題で出題された清算型遺贈は前提登記としての相続登記を要するという論点ですし,この前提登記としての相続登記の要否は平成26年度午後の部第20問でも出題されていますから,この論点を逆転させた前提登記としての相続登記の抹消の要否は,熱い論点だと思います。


     では,また。


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