このブログは,多くの受験生の方が司法書士試験に合格するために開設しました。
    続・遺産分割の協議後に他の相続人が死亡して当該協議の証明者が一人となった場合の相続による所有権の移転の登記の可否について
     【お知らせ】 

    1 2016年度本試験分析セミナー
     7月18日(月・祝) 14:00~16:00 TAC渋谷校

     以下のサイトで動画をご視聴いただけます。
    honshikenbunsekisemina2.jpg
    * 画像をクリックすると,動画が配信されるサイトへ移動します。


    2 平成28年度本試験分析と記述式問題の解法
     7月30日(土) 11:00~12:30 TAC福岡校
     7月30日(土) 16:00~17:30 TAC熊本校
     8月21日(日) 14:00~15:30 TAC名古屋校
     8月28日(日) 12:00~13:30 TAC徳島校
     8月28日(日) 16:00~17:30 TAC高松校
     9月4日(日)  14:00~15:30 TAC金沢校




     

     こんばんは。

     「平成28年度司法書士試験」のカテゴリに入れようか迷ったのですが,もう平成29年度司法書士試験対策は始まっているわけですから,独立した記事にしました。

     平成29年度司法書士試験においても,択一式・記述式での出題に注意が必要な論点の解説です。

     




     法務省は,平成28年3月に,いわゆる「一人遺産分割」と登記手続に関する登記先例を発出しました(平28.3.2民二154号)。

     平成28年度司法書士試験の基準日付近に発出されており,また,そもそも平成28年度司法書士試験の問題作成(少なくとも出題する論点の決定)は終わっていると考えられる一方,この論点は,以前から話題になっており,以下のような登記研究の見解も示されていたことから,僕は,ブログに記事を書くべきか迷いました。


     Aの死亡により,Aの配偶者BとABの子Cが共同相続人となったが,相続登記未了の間にBが死亡した場合において,AからCに相続を原因とする所有権の移転の登記を申請するためには,Cを相続人とする遺産分割協議書又はBの特別受益証明書等を提供する必要があり,これらの提供がない場合には,まず,BCへの相続を原因とする所有権の移転の登記を申請した上で,Bの持分についてCへ相続を原因とする移転の登記をすべきである(登記研究758号P171,登記研究759号P113)。



      
     でも,結局,書きました。


     書いた記事は,次のとおりです。

     遺産分割の協議後に他の相続人が死亡して当該協議の証明者が一人となった場合の相続による所有権の移転の登記の可否について

     
     この記事では,平28.3.2民二154号が平成28年度司法書士試験で出題されたか等を分析したいと思います。


    1 平成28年度午後の部第24問ア

     甲土地の所有権の登記名義人であるAに配偶者B及び子Cがいる場合において,Aが死亡して相続が開始したときの遺産分割協議又は遺言による登記に関する…(以下省略)
     BとCが遺産分割協議を行い,Bが甲土地を取得する旨の遺産分割協議書を作成した場合において,この協議に基づく登記を申請する前にBが死亡し,Bの相続人がCのみであるときは,甲土地についてAからBへの所有権の移転の登記を経ることなく,AからCへの所有権の移転の登記を申請することはできない。


     

    [正誤] 誤り
    [解説] 甲土地は,BとCの遺産分割協議によりいったんBが取得し,その後,Bが死亡したことによりCが取得しており,「中間の相続が単独相続である場合」に該当するため(昭30.12.16民事甲2670号),「年月日B相続,年月日相続」を登記原因とするAからCへの所有権の移転の登記を申請することができます。


     では,この設問は,平28.3.2民二154号を題材としたものなのか?


     違います。


     たしかに平28.3.2民二154号も,相続人が生前に遺産分割協議をした場合の取扱いについて述べていますが,上記平成28年度午後の部第24問アとは遺産取得者が異なります。

     これだけだと分かりにくいと思うので,以下,平28.3.2民二154号の見解を平成28年度午後の部第24問アに当てはめてみます。


     甲土地の所有権の登記名義人であるAに配偶者B及び子Cがいる場合において,Aが死亡して相続が開始したときの遺産分割協議又は遺言による登記に関する…(以下省略)
     BとCが遺産分割協議を行い,が甲土地を取得する旨の遺産分割協議書を作成した場合において,この協議に基づく登記を申請する前にBが死亡し,Bの相続人がCのみであるときは,甲土地についてAからBへの所有権の移転の登記を経ることなく,AからCへの所有権の移転の登記を申請することはできない




     当てはめる上でのポイントは,遺産取得者をBではなくとしたこと,そして,この場合は,「年月日相続」を登記原因としてAからCへの所有権の移転の登記を申請することができるということ(=所有権がAからB,BからCへと順次承継したわけではないため,数次相続の事例ではない。)です。


    2 平成28年度午後の部第12問イ

     甲土地の所有権の登記名義人Aの相続人が配偶者B並びに子C及びDの3名であり,遺産分割協議をしない間にBが死亡した場合において,Bの相続人がC及びDの2名であり,CD間で甲土地はCが単独で取得する旨のAを被相続人とする遺産分割協議が成立したときは,Cは,単独でAからCへの相続を登記原因とする甲土地の所有権の移転の登記を申請することができる。




    [正誤] 正しい
    [解説] 甲土地についてCD間で成立したCが単独で取得する旨の遺産分割協議により,甲土地の所有権は,AからCに承継されたこととなるため,「年月日相続」を登記原因とするAからCへの所有権の移転の登記を申請することができます(昭29.5.22民事甲1037号,昭30.12.16民事甲2670号)。

     
     ポイントは,CD間に成立した遺産分割協議は,法律上は4名で行われているということです。

     4名とは,C及びDのほか,Bの相続人としてのC,Bの相続人としてのDです。


     では,この設問は,平28.3.2民二154号を題材としたものなのか?

     いえ,むしろ,こういう死者の相続人としての立場で遺産分割協議を行うこと及びそれに基づく相続登記を申請することを,平28.3.2民二154号は禁止したのではないか?
     

     違います。


     初めに書いたとおり,平28.3.2民二154号はいわゆる「一人遺産分割」と登記手続に関する登記先例であり,上記平成28年度午後の部第12問イとは,その事例を異にします。

     分かりにくい方は,平28.3.2民二154号は「一人遺産分割」,上記平成28年度午後の部第12問イは「二人遺産分割」と区別しておきましょう。


     以上のように,平28.3.2民二154号は,平成28年度司法書士試験で出題されていません。


     でも,平28.3.2民二154号は,120%意識されて,問題が作成されています。


     平成29年度の出題(択一式問題・記述式問題)に注意しましょう。


     



     おまけとして,記述式問題で出題された数次相続による中間省略登記の問題を紹介しましょう。

     以下の相続関係説明図をご覧ください。


    H22-36.jpg
     

     平成22年度の不動産登記法の記述式問題では,上記の相続関係説明図を読み取らせ,香取仁の持分について,「平成22年5月1日香取太郎相続,平成22年6月15日相続」を登記原因とする移転の登記を申請させる問題でした。


      
     不動産登記法の記述式問題対策は,年内は,論点至上主義で行きましょう。

     解法は,あくまで論点の正確な理解の上に成り立つものです。


     では,また。


     ↓ いつも最後までお読みいただき本当にありがとうございます!足跡としてクリックよろしくお願いします!!久し振りの論点解説にとまどった皆さん,クリックもお願いします!!!
    にほんブログ村 資格ブログ 司法書士試験へ
    にほんブログ村

    スポンサーサイト
    コメント
    この記事へのコメント
    コメントを投稿する
    URL:
    Comment:
    Pass:
    秘密: 管理者にだけ表示を許可する