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    処分禁止の登記と申請順序
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     こんばんは。

     今回は,少し前にコメントいただいた内容に関する記事です。

     内容は,処分禁止の登記に関するものであり,択一式問題でも記述式問題でも出題可能性があるテーマですので,少し難しいかもしれませんが,頑張ってお読みいただけると嬉しいです。




     
    【事例1】

     以下の順序で登記がされているとします。

     1 甲区2番所有権移転 所有者A
     2 甲区3番 処分禁止の登記 債権者B
     3 甲区4番 所有権移転 所有者C
     4 乙区1番 抵当権設定 抵当権者D



     この場合において,BがAに対して提起した所有権移転登記手続請求訴訟で勝訴したときは,以下の登記を申請します。


     ① 1番抵当権抹消 仮処分による失効
     ② 4番所有権抹消 仮処分による失効
     ③ 所有権移転 売買



     
     ①,②及び③は,同時申請ですから(不登法111条1項),申請順序というものが観念できません。

     しかし,答案用紙には,①,②及び③の順序で記載すべきです。

     答案用紙に①,②及び③の順序で書くことに関して,少し検討しましょう。


    (検討1) 1番抵当権者Dの承諾を証する情報を提供して,甲区4番のCの所有権の登記の抹消を申請することはできないのでしょうか?

     通常,抹消すべき所有権に依存する抵当権がある場合,当該抵当権の登記名義人の承諾を証する情報を提供して,当該所有権の登記の抹消を申請する方法によります。

     これに対して,「仮処分に後れる失効」を登記原因として,処分禁止の登記に後れる所有権の登記の抹消を申請する場合には,この方法を使うことができません。

     これは,民事保全法は,仮処分債権者に,処分禁止の登記に後れる登記の「抹消請求権」を付与したからです(同法58条2項)。

     したがって,1番抵当権の登記の抹消と4番所有権の抹消とは,別々に申請する必要があります。

    (検討2) 1番抵当権の登記の抹消と3番所有権の登記の抹消の順序は?

     ①と②の順序を逆にして,この記載順序を,②,①及び③にすることは可能でしょうか?

     この点,上記のとおり,乙区1番のDの抵当権は,甲区4番のCの所有権に依存しているため,やはり,①,②及び③の順序で記載すべきです。




     
    【事例2】

     以下の順序で登記がされているとします。

     1 甲区2番所有権移転 所有者A
     2 甲区3番 所有権一部処分禁止の登記 債権者B
     3 甲区4番 所有権移転 所有者C
     4 乙区1番 抵当権設定 抵当権者D



     この場合において,BがAに対して提起した所有権一部移転登記手続請求訴訟で勝訴したときは,以下の登記を申請します。


     ① 4番所有権更正 錯誤
     ② 1番抵当権をC持分の抵当権とする更正 錯誤
     ③ A持分全部移転 売買




     ①,②及び③は,同時申請ですから(不登法111条1項),申請順序というものが観念できません。

     しかし,答案用紙には,①,②及び③の順序で記載すべきです。

     【事例1】と異なり,抵当権の登記よりも所有権の登記を先に答案用紙に記載するのは,1番抵当権をCの「持分」の抵当権とするためには,登記記録にCの「持分」が公示されていなければならないところ,このCの「持分」を公示するための登記が,4番所有権の更正の登記であるからです。






     この記事を書くのに,相当時間がかかりました。

     その原因は,本来「同時申請」であるなら,答案用紙にどのような順序で書いたとしても正解であるはずですが,「受験生の多くが書くであろう記載順序」が存在し,また,試験委員が何通りもの正解を用意して採点をするという保証がなく,「受験生の多くが書くであろう記載順序」に従う方が無難であるという話を伝えることが本当に難しいからです。

     なお,以上の問題は,試験委員の先生が問い方を工夫していただくと解決します。

     例えば,以下のような問い方です。

     第1欄 処分禁止の登記に関する登記(所有権以外の権利に関するもの)
     第2欄 処分禁止の登記に関する登記(権利の消滅に関するもの)
     第3欄 処分禁止の登記に関する登記(所有権に関するもの)



     …。

     いや,これは微妙ですね…。

     答案用紙に記載する登記が明らかになってしまっています。






     最後に。

     これまでの話を「他人事」と捉えていた皆さんに悲報です。

     別の出題可能性がある登記にも,これまでの話が当てはまります。

     その登記は,以下のバナーをクリックするとご覧いただけます。
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     では,また明日。


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    コメント
    この記事へのコメント
    こんなに丁寧に解説していただき本当に感謝しています。ありがとうございました!

    おかげではっきり理解出来た気がします!(あくまで「気がする」だけですが…こんなに難しい事だとは思いませんでした)
    2017/04/01(土) 09:35:11 | URL | メタルっ子 #-[ 編集]
    いつも素晴らしい論点解説ありがとうございます。今回のネタはまさに目からウロコでした。
    昨日のコメントの回答ありがとうございます。ステップ答練は科目ごとに問題がまとまっているので、点数が伸びなかった科目から解説を早送りで聞くことにします。
    2017/04/01(土) 11:48:37 | URL | もりもり #-[ 編集]
    Re: タイトルなし
    メタルっ子さん

     こちらこそ,ご質問ありがとうございました。

     法令上のルールと答案用紙への反映との関係が難しい論点ですね。
    2017/04/02(日) 01:00:06 | URL | 姫野寛之 #-[ 編集]
    Re: タイトルなし
    もりもりさん

     お褒めいただきありがとうございます。

     早送りでも良いので,お願いします。
    2017/04/02(日) 01:01:24 | URL | 姫野寛之 #-[ 編集]
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