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    このブログは,多くの受験生の方が司法書士試験に合格するために開設しました。
    権利能力なき社団に関する2件の未出判例(1)
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    □ 平成30年度司法書士試験対策 事実関係に関する補足・答案作成に当たっての注意事項集



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     初めての試みでしたが,無事終了しました。
     第2回の実施も検討させていただきます!


    1 2017年度本試験分析&2018年度本試験攻略法
     動画:  2017年度本試験分析会&2018年度本試験攻略法
     ※ 音声にご注意ください。

    2 平成29年度本試験分析と記述式問題の解法

     今年も無事終了しました。
     ご参加いただいた全ての皆さんに感謝申し上げます。


    3 中上級者のための合格の方法論
      動画: 中上級者のための合格の方法論
     * 音声にご注意ください。

    4 憲法・刑法の攻略法
      動画: 憲法・刑法の攻略法 
     * 音声にご注意ください。

    5 択一式対策講座【理論編】民法第1回 無料公開講座
      動画: 択一式対策講座【理論編】民法第1回
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    6 秋から始める2018年本試験対策
      動画: 秋から始める2018年本試験対策
      * 音声にご注意ください。

    7 早稲田合格答練を活用した合格の戦略!
      動画: 早稲田合格答練を活用した合格の戦略!
      * 音声にご注意ください。

     
    【担当講座】

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    2 択一式対策講座【理論編】

    3 パーフェクト講座 憲法・刑法

    4 記述式対策講座

    5 重要先例 総Check講座

    6 択一式対策講座【実践編】


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     こんばんは。


    (前注) 今回の記事は,長く,難易度が高いです。でも,皆さんなら大丈夫。頑張って読んでみてください。


     今回ご紹介するのは,権利能力なき社団に関する2件の未出判例です。

     その2件とは,次のとおりです。


    1 権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を表示した債務名義を有する債権者が,当該社団の構成員全員に総有的に帰属し,当該社団のために第三者がその登記名義人とされている不動産に対して強制執行をしようとする場合における申立ての方法(最判平22.6.29)
    2 権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を有する債権者が,当該社団の構成員全員に総有的に帰属し,当該社団のために第三者がその登記名義人とされている不動産に対して仮差押えをする場合における申立ての方法(最判平23.2.9)


     ほとんど同じタイトルであることから明らかなように,上記2件の判例は,関連しています。

     いずれも,債務名義上の債務者(権利能力なき社団)と登記名義人(第三者)とにズレがあることから,強制執行又は仮差押えをするに当たって,どのようにしてその事情を証明して,強制執行や仮差押えをしてもらうかという問題です。

     では,説明を始めます。

    今回は,最判平22.6.29の解説です。

     まずは,裁判要旨ですが,次のとおりです。


     権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を表示した債務名義を有する債権者が,当該社団の構成員全員に総有的に帰属する不動産に対して強制執行をしようとする場合において,上記不動産につき,当該社団のために第三者がその登記名義人とされているときは,上記債権者は,強制執行の申立書に,当該社団を債務者とする執行文の付された上記債務名義の正本のほか,上記不動産が当該社団の構成員全員の総有に属することを確認する旨の上記債権者と当該社団及び上記登記名義人との間の確定判決その他これに準ずる文書を添付して,当該社団を債務者とする強制執行の申立てをすべきであり,上記債務名義につき,上記登記名義人を債務者として上記不動産を執行対象財産とする執行文の付与を求めることはできない。




     次に,事案は以下のようなものでした。

     Xは,権利能力なき社団Yに対し,金銭債権を有していました。

     Xは,この金銭債権につき債務名義を取得したため,Yが所有する不動産に強制執行の申立てをしようとしました。

     この場合,Xは,当該債務名義に執行文の付与を受ける必要があります。

     ところで,権利能力なき社団名義での登記は認められないことから,当該不動産は,権利能力なき社団であるYの代表者Z名義での登記がされていました。

     そこで,Xは,当該債務名義につき,Zを債務者とする承継執行文の付与を求めました。

     Xの言い分は,「当該不動産は,権利能力なき社団であるYの構成員全員に総有的に帰属しており,代表者Zは,民事執行法23条3項の「請求の目的物を所持する者」に準ずるので,自分の債務名義につき,Zを債務者として当該不動産を対象とする承継執行文の付与をしてくれ!」というものです。

     原審は,民事執行法23条3項を拡張解釈するXの言い分は認めつつも,Zは,そもそも権利能力なき社団Yの構成員でも代表者でもないため,承継執行文の付与を求めることはできないとしました。

     これに対して,最高裁は,Xの言い分及び原審の考え方を否定しました。

     というのも,Xの言い分は,Z名義となっている当該不動産が,本当に権利能力なき社団Yの構成員みんなのものだということが当然の前提となっていますが,これは嘘かもしれません。

     例えば,権利能力なき社団の財産であったため,代表者名義で登記されていても,その後,当該代表者が権利能力なき社団から当該不動産を譲り受けていた場合を考えると(※),代表者とされる者が登記名義を有していたとしても,それが権利能力なき社団の構成員みんなのものだとは限らないわけです。
    ※ この場合,その譲渡に関する登記をしろよと思うかもしれませんが,同一人から同一人に対する所有権の移転の登記をすることはできませんから,登記名義は,そのままにしておくしかありません。

     しかし,「嘘かもしれない。」ということで執行裁判所が強制執行を拒絶することには,問題があります。

     そこで,最高裁は,Xの,債務名義:権利能力なき社団,登記名義:第三者(代表者であることが多いでしょう。)の場合における強制執行の申立ての方法を示しました。

     Xの嘘を見抜けるようにしている点が,ポイントです。

     すなわち,Xは,権利能力なき社団を債務者とする債務名義に加えて,『当該不動産が当該権利能力なき社団の構成員全員の総有に属することを確認する旨の上記債権者と当該社団及び上記登記名義人との間の確定判決その他これに準ずる文書』を添付すれば,当該権利能力なき社団を債務者とする強制執行の申立てをすることができます。

     要は,当該不動産が債務名義上の債務者である権利能力なき社団の総有財産であることを証明しろってことですが,この証明は,確定判決等の裁判所等の公的機関(公証人を含むそうです。補足意見参照)が絡む手続に基づく作成された書面でなければならないということです。

     以上で,判例の解説自体は終わりなのですが,その後の展開を簡単に説明しておきます。

     この判決後,最高裁事務総局民事局長は,法務省民事局民事第二課長(第二課は,不動産登記事務を取り扱っています。)に対し,差押えの登記の嘱託情報の内容について照会しています。

     内容は,強制競売の開始決定上の債務者の表示と嘱託情報の内容である登記義務者の表示が一致しないことになるので,こんなやり方はどうでしょうって内容。
     具体的な内容は,嘱託情報の登記義務者の部分に,権利能力なき社団の名称及び住所を付記するやり方。つまり,同一性確認の方法として,併記の方法で良いですかってこと。

     法務省民事局長は,そのやり方で問題なく,また,そのやり方を全国の(地方)法務局長に通知したと,回答しました(平22.10.12民二2557号)。

     以上,最判平22.6.29の解説でした。


     次回は,最判平23.2.9の解説です。


     では,また
     

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