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    受遺者が共同相続人の一人である場合の遺贈を原因とする所有権の移転の登記の申請人
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    □ 記述式過去問集【不動産登記法】(昭和57年度~平成9年度)[民法(債権関係・相続関係)改正対応版]
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     こんにちは。

     今回は,受遺者が共同相続人の一人である場合の遺贈を原因とする所有権の移転の登記の申請人について考えてみます。

     まずは,事例を設定します。


    【事例】

    1 Aは,甲土地の所有権の登記名義人である。
    2 Aは,甲土地をBに遺贈する旨の遺言をした。
    3 Aが死亡した。Aの相続人は,B及びCである。




     上記【事例】において,申請すべき登記につき申請情報を作成してみてください。





     (申請情報作成中)





     解答例は,次のとおりです。


    登記の目的 所有権移転
    登記原因及びその日付 令和年月日遺贈
    権利者 
    義務者  
     申請人(相続人) 
    添付情報
     登記原因証明情報 Aの登記識別情報 Cの印鑑証明書 Bの住所証明情報 Aの相続証明情報 B及びCの委任状




     厳しい言い方をあえてしますが,この時期の受験生の皆様が間違って良いのは,「申請人(相続人) 」の部分です。

     結論を先にお伝えしますと,受遺者が共同相続人の一人である場合の遺贈を原因とする所有権の移転の登記の申請人について,登記義務者側の申請人となるのは,受遺者である共同相続人以外の共同相続人です。

     僕は,勉強不足でした。恥ずかしいです。


     以下,僕の勉強の成果をお伝えさせてください。






     この点につき,最初に疑問に思ったのは,司法書士内藤先生のブログの以下の記事を読ませていただいたときです。

     
     「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて」


     内藤先生も指摘されていますが,受遺者が共同相続人の一人である場合の遺贈を原因とする所有権の移転の登記の申請人について,登記義務者側の申請人となるのは,受遺者である相続人を含めた相続人全員ではないか?

     僕は,民事月報を購読していないため,いつか内藤先生が引用している論文が登記研究か登記情報に掲載されると考えていたところ,登記研究に掲載されました(866号P18~39)。

     この論文は,民法(相続関係)の改正のうち,配偶者居住権以外に関する通達(令元.6.27民二68号)を法務省の担当者の方が解説するものです。

     以下,その登記研究の記事のうち,今回の論点に関する部分を引用させていただきます(866号P25)。ただし,太字の部分は,姫野が行いました。


     遺贈による所有権の移転の登記については,これが特定遺贈であるか包括遺贈であるかにかかわらず,遺言執行者がある場合には遺言執行者が登記義務者となり,また,遺言執行者がない場合には,相続人全員(受遺者が共同相続人の一人である場合には受遺者以外の相続人)が登記義務者となって,登記権利者である受遺者との共同申請によることとなるのであって,遺言執行者があるにもかかわらず相続人が登記義務者となって申請がされた場合には,当該申請は受理することができないと考えられる。




     まず,基本的事項の確認として,遺贈を原因とする所有権の移転の登記の登記義務者は,遺言者(死亡した所有権の登記名義人)であり(不登法2条13号),相続人や遺言執行者が登記義務者となることはありません。

     相続人や遺言執行者が,あくまで登記義務者に代わって登記を申請する者です(不登法62条)。

     この論文において,法務省の担当者の方は,この基本的事項を見逃しています。

     次に,論文中の「登記義務者」を「申請人」に読み替えたとして,注目すべきは,「相続人全員(受遺者が共同相続人の一人である場合には受遺者以外の相続人)」という部分です。

     僕を含め,多くの方が,受遺者である共同相続人も登記義務者側の申請人になると考えていたことを覆す見解が提示されました。

     ただ,この時点では,僕は,「登記研究に示された法務省の人の見解にすぎない」と考えていました(なんて偉そうなことでしょう。)。

     しかし,この考えでは済まされない重要な見解が示されました。


     その見解が,配偶者居住権に関する令2.3.30民二324号です。上記と異なり,法務省の担当者の方の解説ではなく,登記先例本体です。

     配偶者居住権に関する令2.3.30民二324号においては,特定財産承継遺言に基づき配偶者居住権の設定の登記をするために相続登記ではなく遺贈の登記をすることなど,テクニカル登記手続が示されているのですが,それはさておき,遺贈の登記について,以下の記述があります。ただし,太字の部分は,姫野が行いました。

     

     この場合における所有権の移転の登記の申請は,登記原因が「遺贈」となることから,相続人(受遺者である相続人を除く。)を登記義務者とし,受遺者(受遺者である相続人)を登記権利者とする共同申請によることとなるところ,遺言執行者があるときは,当該遺言執行者が,登記義務者の立場から,その資格において当該登記を申請することとなる。




     この登記先例も,「登記義務者」と「申請人」とを正確に区別していないところがありますが,やはり,受遺者が共同相続人の一人である場合の遺贈を原因とする所有権の移転の登記の申請人について,登記義務者側の申請人となるのは,受遺者である共同相続人以外の共同相続人のようです。

     登記先例がその取扱いを示している以上,今後は,この取扱いに従うべきですね。

     ところで,僕を含め,なぜ多くの方が,受遺者である共同相続人も登記義務者側の申請人になると考えていたのでしょうか?

     この点を調べると,まず,今回の法務省の担当者の方の論文や登記先例以前に,登記研究において,以下の見解があることが分かりました(364号P79)。ただし,太字の部分は,姫野が行いました。

     

     特定遺贈された農地について所有権移転登記の申請をする場合には,受遺者は①遺言執行者が選任されている場合には遺言執行者と,②その他の場合には受贈者の相続人(受遺者が共同相続人の1人の場合は,受遺者以外の相続人)との共同申請によるべきである。




     登記研究364号は,1978年(昭和53年)3月20日発行ですので,40年前からずっとこの取扱いだったようです...。 

     さらに調べると,多くの方の勘違いを原因を突き止めることとなった(かもしれない)見解にたどり着きました。

     その見解とは...?



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