FC2ブログ
    このブログは,多くの受験生の方が司法書士試験に合格するために開設しました。
    最新判例解説講座(4)
     最新判例解説講座の第4回です。

     今回は,民法(民事執行法)の最新判例の解説をします。

    【バックナンバー】
    ▽ 最新判例解説講座(1)
    ▽ 最新判例解説講座(2)
    ▽ 最新判例解説講座(3)
    【第4回-委任者が委任事務の処理のために受任者に交付した前払費用についての返還請求権は,当該委任事務の終了前においては,券面額を有するものとはいえず,被転付適格を有しない(最判平18.4.14)】

     今回は,民法で時々出題される『委任』の分野の判例です。この判例は,債権執行に関する判例として,民事執行法の問題として出題される可能性もあるでしょう。

     事案は,こんな事案↓

    ① Yは,債務整理弁護士Aに対して委任し,Aに対して,民法649条の規定する前払費用を交付した。なお,まだ債務整理の事務は完了していない。

    ② Xは,Yに対する金員の支払を命ずる旨の確定判決を債務名義として,YがAに対して有する前払費用についての返還請求権について,差押命令及び転付命令を申し立てた。

     問題点は,『委任事務の終了前において,前払費用についての返還請求権が転付命令のの対象となる適格を有するかどうか?』です。

     最高裁は,次のとおり判示しました。

     

     前払費用は,委任事務の処理のための費用に充てるものとして交付されたものであるから,受任者が委任事務を処理するために費用を支出するたびに当該費用に充当されることが予定されており,受任者は,当該委任事務が終了した時に,前払費用から支出した費用を差し引いた残金相当額を委任者に返還すべきこととなる。したがって,委任者の受任者に対する上記前払費用についての返還請求権は,当該委任事務の終了時に初めてその債権額が確定するものというべきである。そして,同請求権が委任者の債権者によって差し押さえられた場合であっても,受任者は,当該委任事務が終了しない限り,委任事務の遂行を何ら妨げられるものではなく,委任事務の処理のために費用を支出したときは,委任者から交付を受けた前払費用をこれに充当することができるものと解される。
     以上によれば,委任者の受任者に対する前払費用についての返還請求権は,当該委任事務の終了前においては,その債権額を確定することができないのであるから,民事執行法159条1項にいう券面額を有するものとはいえず,転付命令の対象となる適格を有しないものと解すべきである。



     最高裁は,結論として,『委任者の受任者に対する前払費用についての返還請求権は,当該委任事務の終了前においては,その債権額を確定することができないのであるから,民事執行法159条1項にいう券面額を有するものとはいえず,転付命令の対象となる適格を有しないものと解すべき…』としています。

     その理由は,最高裁の判旨を見れば分かると思いますので割愛します。

     ここでは,それ以上に大切な,『判例を題材とする問題への対処方法』についてお話ししたいと思います。

     この判例が本試験で出題された場合の問題文としては,いくつかが挙げられると思います。

     最も出題可能性の高いのが,

     

     委任者の受任者に対する前払費用についての返還請求権は,当該委任事務の終了前においては,転付命令の対象となる適格を有しない。



     でしょう。

     しかし,この問題文だと,民事執行法の問題にしかならないため,判例が最も題材とされる民法の問題で問われた場合も想定しておく必要があります。

     例えば,こういうのはどうでしょう?

     

     委任者の受任者に対する前払費用についての返還請求権が,委任者の債権者によって差し押さえられた場合であっても,委任事務の処理のために費用を支出したときは,委任者から交付を受けた前払費用をこれに充当することができる。



     この問題文は,判例が『転付命令の対象となる適格を有しない』とする理由等にスポットライトをあてて,問題文化したものです。

     これを,近年よく出題される事例問題化すると,

     

     Aを委任者,Bを受任者とする委任契約に関する次の…[以下省略]。
     AのBに対する前払費用についての返還請求権が,Aの債権者によって差し押さえられた場合であっても,委任事務の処理のために費用を支出したときは,Bは,Aから交付を受けた前払費用をこれに充当することができる。



     なんとなく本試験ぽい問題文になっているがお分かりいただけますでしょうか(笑)?

     以上のように,判例を題材とした問題は,判旨が述べている部分を,できるだけ事例問題の形にして押さえておくべきといえます。

     日頃から,判例六法を読んでいる際に,AやB等の記号を用いて事例化することを忘れないで下さい。

     事例化は,絶対できるはずなんです。

     なぜなら,判例は,すべて具体的な事例が基になって出ているものだからです。

     事例があって,その事例の解決基準を判例が一般化する。

     判例が一般化したものを,判例六法を編集している人が要約する。

     皆さんは,それをできる範囲で,事例化するのです。

     なぜなら,本試験では,事例問題で出題されることが多いからです。

     出題傾向に合致したやり方を徹底してやるというのが,司法書士試験に合格する王道だと思います。

     地道な作業となりますが,その分,確実に点数を上げる方法です。これは,誰にも疑いがないと思います。

     では,また☆

     なお,僕がこのブログ講座をするに当たって利用しているサイトにまだ平静18年下半期の判例が掲載されていないため,次回からは平成17年の判例を解説します。

     平成18年下半期の判例と平成19年の判例をまだ解説していないことをちゃんと覚えておいて下さいね(笑)


    スポンサーサイト